資料1 - 覚書


(美術館の招致)

第1条

甲は、「世代を超えて愛される施設」「子どもたちに夢と希望を与える施設」及び「緑豊かな井の頭公園の環境に馴染む施設」となる文化施設の設置を構想し、その実現のために、乙が計画していた「スタジオジブリを中心としたアニメーション作品の展示・検証及び次代を担う子ども達へのアニメーション作品を通じたメッセージの発信を行なう美術館」を招致し、乙はこの招致を受諾する。

2

甲及び乙は、本美術館が前項に揚げる趣旨を有していることを理解し、美術館事業の成功に向けて相互に協力する。

(美術館の建設等)

第2条

甲は、美術館の設置場所として、都立井の頭恩賜公園内の4000㎡の土地(所在地は別図の通り。以下「予定地」という。)について、都市公園法第5条に規定する公園施設の設置許可を東京都(以下「都」という。)から得るものとする。

2

乙は、甲に対して負担附き寄附の申し込みを行い、三鷹市議会(以下「市議会」という。)による寄附受け入れの議決を受けて、予定地に美術館を建設する。

3

甲は、寄附を受けた美術館を市議会の議決を経て、地方自治法(以下「法」という。)第244条及び第244条の2に規定する市の公の施設として条例(以下「条例」という。)により設置する。

(都との協議及び調整等)

第3条

甲は、美術館の建設及び運営に必要な都との協議及び調整を行う。

2

甲は、前項の協議及び調整の経過及び結果を乙に速やかに報告する。

(美術館における事業)

第4条

美術館においては、概ね次に揚げる事業を行なう。

  1. 第1条の主旨を実現するにふさわしい作品及び資料の収集及び保管
  2. 前号の作品及び資料の展示
  3. アニメーション文化に関する専門的かつ技術的な研究調査
  4. アニメーション作品に関する情報の提供、教育及び啓発活動
  5. 美術館の利用者に対するサービス等の提供

(美術館の名称)

第5条

美術館は、正式名称を「三鷹市立アニメーション美術館」、通称名を「三鷹の森 ジブリ美術館」とする。

2

甲は、美術館の正式名称を条例で定めるとともに、通称名を同条例にもとづく規則で定める。

(財団の設立)

第6条

甲及び乙は、都の許可を受け協同して財団法人(以下「財団」という。)を設立する。

2

財団の基本財産は5億円とし、甲は予算の定めるところによりその一部を出捐する。

(美術館の管理運営等)

第7条

甲は、前条第1項の財団を美術館の管理運営法人として条例で指定する。

(アニメーション作品の提供等)

第8条

乙は、財団に対して、美術館の運営に必要なアニメーション作品の提供及び展示等に関する協力を行なう。

(美術館事業の拡充等)

9条

甲、乙及び財団は、美術館事業の拡充等について継続的に協議する。

(利用料金制)

10条

甲は、美術館の管理運営について、市議会の議決を経て、法第244条の2第4項に規定する利用料金制度を導入する。

(美術館に関する経費等)

第11条

美術館の開館後、修繕又は補修の必要が生じた場合は、甲、乙及び財団が協議し、修繕又は補修の時期並びにその内容及び経費等を定める。

2

前項の修繕又は補修の必要性の判断に際しては、美術館が乙による芸術的作品であることを十分考慮する。

3

第1項の協議に基づいて、甲が負担する経費については、予算の範囲内で甲が負担する。

(建物設備の維持管理費)

第12条

甲は、予算の定めるところにより、財団に対し、美術館の建物設備の維持管理に要する費用の一部を委託料等として支払う。

(周辺環境の整備)

第13条

甲及び乙は、美術館の設置に伴う駐車場及び駐輪場、美術館への案内標示、屋外トイレ、バスベイの設置等美術館周辺の環境整備について、最大限努力する。

(コミュニティ・バスの運行)

第14条

甲は、美術館の交通アクセス対策及び美術館周辺の交通渋滞対策として、コミュニティ・バスを運行する。

2

乙は、前項のコミュニティ・バスに関して、当該バス、その停留所、そのチケットのデザインについて協力する。

3

乙は、甲が設置する美術館への案内標示のデザインについて協力する。

4

前2項の場合における協力の内容及び条件については、甲乙別途協議して定める。

(知的財産権)

第15条

乙が甲に寄附する美術館の建物及び甲に協力して作成する各種デザインに関する著作権等の知的財産権は乙が留保する。

(財団の情報公開)

第16条

財団は、美術館の管理運営に関して情報公開に努めるものとする。

(日程)

第17条

甲及び乙は、本美術館の開館については、平成13年10月1日を目途に最大限努力する。

(その他)

第18条

乙の責に帰すことができない事由により、やむを得ず美術館を乙が建設又は設置できない事情が生じた場合は、甲乙協議する。

2

この覚書に定めのない事項については、甲乙誠意をもって協議する。

平成11年9月22日
甲 三鷹市長 安田 養次郎
乙 株式会社徳間書店代表取締役社長 徳間 康快
乙 株式会社ムゼオ・ダルテ・ジブリ代表取締役社長 宮崎 吾朗