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作品解説

風刺と迫力に満ちたジョージ・オーウェル原作『動物農場』

 『1984年』などで知られるイギリス人作家ジョージ・オーウェル原作の『動物農場』。社会の片隅から戦場に至るまで自ら足を運び、問題の本質をえぐり出してきたオーウェルが、その鋭い視点と行動力で暴き出したソビエト共産党の内部腐敗や全体主義批判。登場する動物たちは、それぞれ現実に存在した政治家などになぞらえて読み解くことができるとも言われている。しかし、優れた寓話として完成されており、時代やイデオロギーを越えて広く権力の腐敗を痛撃している。
 またアニメーション化の際には、冷戦下のアメリカCIAが出資したと噂されるなど、作品をめぐっての政治的思惑も見え隠れする。
 原作をほぼ忠実にアニメーション化しているが、ラストシーンだけ改変されており、評論家の間では賛否が分かれた問題作であるが、オーウェルの風刺が見事に映像化された迫力に満ちた作品である。