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作品解説

アンの瞳を通して見えてくる美しい世界

赤毛のアン 1908年に出版されたモンゴメリ原作の「赤毛のアン」は100年余りの時を経て、いまなお衰えることのない人気を誇る小説です。日本では、1979年にテレビアニメ化され、原作を忠実に映像化した作品として、強い支持を受けています。本作「赤毛のアン~グリーンゲーブルズへの道~」は、全50話あるテレビシリーズの中の1~6話を、演出の高畑勲自らが監修して再編集した劇場版です。しかも、1989年に再編集された当時は正式な公開には至らなかったという、知られざる名編集版であり、20年の時を経て、いよいよ劇場のスクリーンに登場します。

 孤児院からカスバート家に引き取られてきた少女アンが、カナダプリンスエドワード島の美しい自然の中で、寂しかった過去から解放され、自分の居場所を見つけていくまでを描くストーリー。アンの物語の冒頭を丁寧に描いたこの作品には、喜びや絶望を乗り越えて、世界の美しい部分を見い出だすアンの視点と空想力が鮮やかに描き出されています。

「楽しもうと決心すれば、たいていいつでも楽しくできるものよ。」

 そう話すアンの生き方は、苦しい時代を生きる私たちに小さなヒントを与えてくれているようです。