2002年03月


03月01日(金)
1月に受けた健康診断の結果が返ってくる。受け取ったスタッフは悲喜交々。この2年で標準体重へと近づきつつ痩せ続けていた西方さんは、なぜか今年一気に体重が戻ってしまい、保健婦さんから直筆のメッセージつき診断結果をもらったそうだ。


03月02日(土)
風邪でダウンしていた滝口さんが3日ぶりに出社。交代するかのように橋田さんが「ベガス(ラスベガスね)に行ってくるよ!」と言い残して、箱根に旅立つ。静かな日だった。


03月04日(月)
昨日の「広報みたか」で、26日に美術館で行なわれる上映会の募集告知をしたため、問い合わせ電話が何件か入る。上映作品は、埼玉のいなほ保育園を舞台にした「こどもの時間」。三鷹市在住の親子を対象に行なわれる。だれにとっても大切な「こどもの時間」を見つめなおすきっかけになることを願い、企画した上映会だ。美術館が行う最初の上映会ということもあって、企画担当者の滝口さん、田村さん、机さんは緊張しつつも楽しみながらやっているようだ。


03月05日(火)
休館日を利用して、安西さん、石光さん、三好さんらが作業室の片づけをする。
いろんな部署から当面使わないものが山積みされて、すっかり物置状態だった部屋がかなりすっきりした。一方トライホークスでは、13日からのセル画販売に備えて照明の数を増やし、ぐっと部屋が明るくなった。


03月06日(水)
映像展示室にいる岩井さんは、宮崎館主が描いたイメージイラストの映写技師さんにそっくりで、美術館スタッフの中でも名物的な存在だ。この日は美術館のガイドブックを持ってきたお客様に「サインしてください!」と頼まれ、サインをしたらしい。


03月08日(金)
ショップでマックロクロスケのぬいぐるみが販売される。美術館ショップ「マンマユート」のオリジナル商品だ。ふわふわとして手ざわりが良く、かわいいので、人気商品になるのではと注目されている。


03月09日(土)
休暇を終えた橋田さんが1週間ぶりに美術館に。久しぶりに見た橋田さんは、トレードマークの髭を剃り落とし、ずいぶん感じが変わった。ショップの草野さんが「若返って38歳くらいに見えますよ」と言っていたが、橋田さんは現在38歳である。


03月10日(日)
13日からトライホークスでセル画が販売されるので、石光さんと大口さんは最終的な作業に追われている。今日はセル画の納品日で、佐々木さん、滝口さん、黒瀬さんを巻き込んでの大作業。セル画を選別する前に固く梱包されてきた箱を開けるのが一苦労だった。ところで、箱には燃えやすい緩衝材がたくさん入っていて、カフェのストーブの焚きつけ用にと、気をきかせた大口さんは松下さんを呼んだが、「最近暖かいので必要ありません」とあっさり断られたそうだ。


03月12日(火)
明日からのセル画販売に備えて、安西さん、三好さん、石光さんが中心となって、トライホークスの壁にセル画を一日がかりで飾る。正面や本棚の上の壁がたくさんの絵で埋まり、部屋の雰囲気ががらりと変わった。

地下1階展示室にあるゾートロープ「びっくり劇場」がバージョンアップされる。
劇場の中を天使が飛び回ったり、舞台裏の機械が煙を上げたりと動く仕掛けが増えてにぎやかになった。作業が終ったあと館内のスタッフがお披露目に集まり、「おー!」と歓声を上げていた。


03月13日(水)
トライホークスでセル画の販売が始まった。「天空の城ラピュタ」「火垂るの墓」「となりのトトロ」などのジブリ作品から宮崎館主がシーンを選び、映画制作と同じく手で塗って新たに仕上げたものだ。セル画を使わずデジタルで仕上げられた「千と千尋の神隠し」も、セリグラフィという版画技法を使っていくつかのシーンをセル画化。全部で24種類が飾られている。そして開館早々2枚が売れるという順調なスタートを切り、販売にこぎつけるまで長い時間と苦労を重ねてきたものだけに、スタッフはホッとしていた。


03月14日(木)
カフェの堀口さんと佐藤シェフが平塚まで出張。テイクアウトのホットドッグのソーセージが作られる新工場の視察のためだ。堀口さんは清潔な豚舎を見て「千と千尋の神隠し」を思い出し、「どれがお父さんでどれがお母さんだろう…」と考えてしまったそうだ。


03月15日(金)
朝礼中に滝口さんが時計を見ようとして頭を上げたら、階段の手すりにぶつけてしまい、笑いがおきる。それを見ていた大口さんは「そこから見上げても時計は見えないんじゃ…」と思ったそうだ。

26日のイベント進行のための打合わせが滝口さん、大口さん、田村さん、机さんで行なわれる。次から次へと疑問点が生まれ、みんなで悩む。


03月17日(日)
暖かくなってきたため、本日は館内の暖房を使用しないことに。スタッフは窓の開閉などで温度を調節している。また、例年に比べて異常に早い桜の開花宣言が出たため、美術館の各部署でもあわてて花見の話が出始めている。


03月18日(月)
橋田さんと深谷さんが、「ジブリ美術館は予約制です」と書いたシールを、井の頭公園にある案内看板に貼りに行く。井の頭公園にお花見に来る観光客は、例年だと多い日で20万人近くにものぼるそうで、予約制であることを知らない方も多いだろうと、お知らせをするためだ。花粉症の橋田さんは、大きなマスクをして辛そうに公園から帰ってきた。


03月19日(火)
冬の間にさびしくなった屋上庭園の芝生の植栽が行なわれる。新たに芝生が植えられた部分は、しばらく立ち入り禁止となった。初夏になれば青々とした草の茂る庭となるだろう。


03月20日(水)
昨日、台湾料理を食べに行った田村さんと机さんと石光さん。田村さん、机さんは食後から胸焼けがして、この日も調子が悪かった。しかし、石光さんだけはなんともない様子で、「さすが紀子!」とみんなから感心されていた。


03月22日(金)
今週からトライホークスで、宮崎敬介さんの木口木版を3種類販売。地下1階展示室「動きはじめの部屋」にあるゾートロープ小屋やびっくり劇場で使われている絵と同じ絵柄で、「見世物小屋」のどこか怪しい雰囲気を漂わせる繊細な木版画に、通りがかる人は立ち止まって見ている。


03月23日(土)
火曜日に開かれる上映会イベントのため、田村さんと机さんが吉祥寺へ買出しに出かける。なるべく低予算に抑えるために、ひとつの物を選ぶにも、いろいろな商品を並べて検討したそうだ。そんな手作り感のあるイベントも開催まであと 3日と近づき、滝口、田村、机の「こども」委員会メンバーの間にも緊張感が漂ってきた。


03月24日(日)
大口さんがケーキハウス下にある倉庫でパンフレット類をチェックしていると、ものすごい音が警備室から響いた。驚いて倉庫から出てみると、可憐な新妻・杉山さんが、コード3本にからまって倒れ、おまけに赤い消火器の下敷きになっていた。大口さんは杉山さんを助け起こしたが、あまりの様子に笑いを禁じえなかったそうだ。


03月25日(月)
本格的に春休みに突入したためか、子どものお客さまが多い1日だった。

閉館の鐘を滝口さんが初めて鳴らすことに。鐘は鳴らす人によって違った音を出すのだが、滝口さんの鐘は「軽やかな音色だね」と言われていた。


03月26日(火)
「こどもの時間」上映会イベントが行われる。午前は三鷹市市民を招いてのイベントで、大人が映画「こどもの時間」を見ている間に、子どもは子どもたちだけで館内を見てまわる、という企画だ。映画の上映が始まると、子どもたちは縦横無尽に館内を駆け回っていた。大人がいなくても、子どもたちは自分たちでルールを決めて楽しんでいたため、居合わせたスッタフから「いつもと違って新鮮!」という感想が多くでた。午後はスタッフ向けの上映会の後、中川李枝子さん、いなほ保育園園長の北原和子さんの対談が行なわれた。

ショップのディスプレイケースに、齋藤明典さんの作ったナウシカの70センチ近いドールが入る。トリウマに乗ったナウシカは緻密な上に迫力があり、塩島さんも「嬉しい」と喜んでいた。


03月27日(水)
運営スタッフ・高浦さんの最後のお勤め日。旦那さまの転勤に伴い、関西へと引っ越すためだ。閉館後、無線で吾朗さんをはじめ、館内中のスタッフから「お疲れさまでした」コールが入り、高浦さんは涙が止まらない。最後には中央ホールにて胴上げが行なわれた。


03月28日(木)
4月から再び上映される「くじらとり」に、聴覚に障害を持つ方のための日本語字幕が付く。今日は字幕を担当した田村さんを中心に、倉庫内でフィルムの文字位置のチェック。みんなでフィルムを傷つけないよう白い手袋をはめて、狭い部屋で細かい作業をしたので、目や肩や腰が異常に疲れたそうだ。


03月29日(金)
美術館を運営する財団の理事会が三鷹市役所で行なわれる。この日のために2ヶ月ほど準備に追われていた西方さんは、朝早くから三鷹市役所に行き、理事のお出迎えから会の進行など、息つく暇もなかった。なんとか無事に理事会が終ったあと、西方さんに出された差し入れは「減肥茶」だった。


03月31日(日)
閉館後、映像展示室の映写室で、明日から上映のはじまる「くじらとり」のフィルムのかけかえや、ランプ交換などのメンテナンスが行なわれる。北嶋さん、滝口さん、岩井さん、澤登さん、永生くんらが深夜近くまで作業した。作業終盤に試写を行ったところ、フィルムがより一層美しく映り、一同感動。