2002年12月


12月01日(日)
広報主催のとあるイベントが行なわれ、テントや長机や椅子をセッティングに、机さんと田村さんは四苦八苦。そこに深谷さんがひょうひょうと登場し、ものの五分ですべてをセッティングしてくれた。あまりの手際のよさに二人は感激し、深谷さんに対する評価が「カブト虫を愛でる人」から「スーパー助っ人」に変わったそうだ。


12月02日(月)
フランスから来日した報道陣が20名ほど来場。「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」では、やはり同じフランスのジュール・ヴェルヌの本やアルベール・ロビダの絵に大きく反応していた。ツアーを担当したジブリの井筒さんらは、国によって見るポイントが違うのが興味深かったそうだ。ちなみに、皆が集るとどこからともなく香水の香りがするあたりはさすがフランス。


12月03日(火)
明日からお披露目のクリスマス装飾の準備。北嶋さんをリーダーに、朝から各所が飾られていくが、大変な量のためかなかなか終わらない。最後に中央ホールのクリスマスツリーとカフェデッキのもみじに電球が点ったときには、誰からともなく拍手と歓声が沸き上がった。それでも気がつくと深夜2時。ハイテンションの中で作業が終了した。

一方、トライホークスで販売していたセル画や木口木版画がショップに移動。
壁にはユーリー・ノルシュテイン監督の「おやすみなさい、こどもたち」の絵が飾られた。


12月04日(水)
館内クリスマス仕様初日。中央ホールのクリスマスツリーをはじめ、ショップやカフェ、トライホークスなど、いたるところがクリスマスムードに。お客さまからも「あー、きれい」「もうクリスマスか」など反応も上々。中には「ここがホテルだったら食事してそのまま泊まっていけるのに」とクリスマスモード満点の人も。


12月05日(木)
気がつけば師走。各部署から担当者が集り、忘年会のプランが練られている。
幹事達は、スタッフの1年の疲れを吹っ飛ばすような企画を考えるため、打合せにも熱が入っているようだ。懸案事項は、当日の司会を担当する三好さんが、酔っ払ってわけがわからなくなるのをいかに防ぐか、ということらしい。


12月06日(金)
パティオで、手の空いたスタッフが、館内に飾るためのリースを作成。薪割りをやって、子どもたちのアイドルになっている河合君は、「近頃は寒いからか、話し掛けてくれる子が少ない」と寂しそうだった。

最近、トトロ宛てのどんぐりのお土産が多い。


12月09日(月)
東京では近年まれに見る降雪を記録。交通ダイヤの乱れを潜り抜けながら、なんとか美術館に到着したスタッフは、早速、一丸となって雪かきに専念。なんとか開館にこぎつけたが、想像以上の積雪量で、明日の筋肉痛が恐ろしい。

サンクンテラスの斜面では、深谷さんと石井君が転がりながら、まだ誰も乗っていない雪の感触を味わっていた。その後、"トトロゆきだるま"なるものを作ったが、実はこの日、いたるところに"トトロゆきだるま"が登場し、お客さまの写真スポットになっていた。

吾朗さんからスタッフに、寒い日恒例の"館長特製豚汁"の差し入れがあった。
寒さで冷え切った身体にしみわたるようで、あっという間に売り切れた。


12月10日(火)
チケットが毎月10日からの発売になってから、毎月10日は留守番電話の内容を更新する日になった。録音を担当するのは、ジブリで1、2と言われる美声の野中さん。毎回マイクを45度の角度で持ち、背筋を伸ばして、気持ちのいい声で吹き込んでくれる。ちなみに、よく、ピンチヒッターに立つ橋田さんは、ごあんないダイヤル0570-055777のところが言えず、とりなおしになってしまうそうだ。


12月11日(水)
毒のある似顔絵で定評の吾朗さんが、今度は伊藤君を餌食にした。「もっと似ているように描いてください!」と反抗していたが、同席していた人は皆「かなり似ている」と心の中でつぶやいていた。


12月12日(木)
展示室で「耳をすませば」のセル画をみて、突然「カントリー・ロード」を歌いだすお父さんがいた。本人は「思い出しちゃったんだよ…」と照れくさそうにしていたが、居合わせたスタッフは、そのお父さんの言動がとても嬉しかったそうだ。


12月13日(金)
トライホークスにアニメーション作家フレデリック・バック氏の原画が展示される。「トゥ・リエン」「クラック!」「木を植えた男」「大いなる河の流れ」の短編映画4作品で実際に使用された絵だ。薄い半透明の紙に色鉛筆などで描かれたというデリケートな素材なので、ライティングが大変だったそうだ。これでノルシュテイン氏とバック氏の世界の二大巨匠が並ぶなんとも贅沢な空間になった。


12月14日(土)
屋上で霜柱が発生し、それが溶けたおかげで土がどろどろになってしまう。そんなどろどろの中を勢い良く駆け出す6歳くらいの男の子。案の定、滑って転んでしまい、手が土で真っ黒に。「マックロクロスケに会えてよかったねー」と微笑むお母さんに男の子も笑顔で答えていた。


12月16日(月)
地下にある部屋で作業をしているため、"地底の人マッキー"という愛称がついている槙原君は、石光さんに勝るとも劣らぬ食いしん坊。そんなマッキーのお気に入りは"はちみつのどあめ"。しかし、「最近どこにも売っていないんだよなぁ…」と実に寂しげな表情を浮かべていた。

定例の全員ミーティングも今年最後となった。


12月17日(火)
中央ホールにてピアノと四重弦楽奏によるコンサートが行なわれた。
スタッフは朝から会場設営などの準備にてんてこ舞いだったが、コンサートは盛況に終わった。最近のイベントの中でも大規模なものだった分、終了後はスタッフも充実感があったようだ。スタッフの指揮をとった石光さんも大きな仕事を無事終えてホッとしていたせいか、帰りに寄ったラーメン屋さんで、ラーメンをすすりながら今にも眠りそうになっていた。


12月18日(水)
「めいとこねこバス」を見ながらの親子の会話。子「キャラメルってどれくらいおいしいの?」母「あなたの大好きなイチゴショートケーキくらいおいしいよ。」子「じゃ、ものすご~~~くおいしいんだね!!」


12月19日(木)
入口手前のミカンの木に1個だけ残っているミカンに、いつのまにか目が描かれている。それを見たある家族は「ミカントトロだ!」と叫び、ある子どもは「マックロクロミカンだ!」といってはしゃいでいた。


12月20日(金)
館長が所用で外出してしまったため、ショップの草野さんが急遽閉館の鐘を鳴らすことに。防寒に、いわゆるドカジャンを着て鐘を振る姿は堂々たるもので、心配でついていったはずの橋田さんもニッコリ顔で戻ってきた。子どもたちに囲まれてヒーロー気分を味わった草野さんは、「週一回ぐらいはやってもいいなぁ」と言っていた。


12月21日(土)
ネコバスルームにて、飛んできたマックロクロスケにぶつかって泣いている男の子。スタッフが「痛かったね、大丈夫?」と言葉をかけると、その子は、「ううん、僕も痛かったけど、クロスケも痛かったね」と泣きべそをかきながら、ぶつかったクロスケをなでてくれた。スタッフは、ひたすら感動したそうだ。


12月22日(日)
企画展示室にある潜航艇カンブリア号の周りには、知らない子ども同士が集まって、真剣な顔で模型を覗き込み、話をしている様子が頻繁に見られる。どうやら、潜水艇の裏側が正面から見られるように仕掛けた鏡が不思議なものに見えるらしく、その謎を追求しているようだ。


12月24日(火)
外エリアの松岡さんが今日で最終日ということもあって、石井君は場を盛り上げようと朝一番から張り切っていた。最初に来場されたお客様に「メリークリスマス!!」と最高の笑顔で元気良く挨拶したつもりだったが、あまりの唐突ぶりにお客さまも周りのスタッフもその場で5秒ほど凍りついたそうだ。


12月25日(水)
年内最終開館日の今日、谷川賢作さんによるサプライズピアノコンサートが行なわれた。中央ホールでピアノを弾く賢作さんの周りには、子どもから大人までたくさんの人が集まり、心地よい音色に耳を傾けていた。さらに、覚和歌子さん、谷川俊太郎さん、木村弓さんが飛び入りで参加してくださり、最終日を飾る贅沢なコンサートとなった。このイベントの統括をした机さんも、満面の笑みを浮かべていた。


12月26日(木)
スタッフ全員による消防訓練と大掃除が行なわれた。消防訓練を指揮した深谷さんは、前の晩から緊張した様子だったが、訓練は無事終了。ほっとしたのか、夜の忘年会では怪しいレスラーの覆面を被って場内をうろつくなど、誰よりも楽しんでいた様子だった。

大掃除終了後、中央ホールにて忘年会。カフェスタッフ手製のエスニック風料理をおいしくいただきながら、ゲームやバンド演奏で大いに盛り上がった。


12月27日(金)
スタジオジブリとジブリ美術館合同忘年会が行なわれた。今年のモットーは「和風」ということで、一流の伝統芸を楽しんだのをはじめ、料理も和食、ゲームの景品も和モノ、さらに幹事スタッフが七福神や侍や巫女などに仮装するという凝りよう。2002年の仕事納めにふさわしい会となった。昨日の美術館忘年会から2夜連続で司会を務めた三好さんは、終了後は声がガラガラ。それでも三次会のカラオケで70年代アニソンを熱唱していたという。