2006年12月
12.1(金)
・今日で退職する小葉松さんがあちこち挨拶にまわっていた。
美術館開館準備期から今日までずっと陰になり日向になり美術館を盛り上げていた小葉松さん。あらたまって挨拶をされると、皆照れくさく、同時期に入社した橋田さんは「やだなあ、あらたまっちゃってっ!」などと、言っていたが、「なんだか・・・本当はさみしいよ。」と、小葉松さんが去ったあと本音をもらしていた。
・小葉松さんが店長を務めていたショップでは、「今改めて、この美術館の素晴らしさを実感してます。これから何十年先も、ずっと光を放ち続ける美術館であり続けて欲しいです。」とショップ終礼で、少し言葉をつまらせながら最後の挨拶となった。小葉松さん、7年間本当にお疲れ様でした。
12.2(土)
・退職した小葉松さんに代わって、今日から今井さんが店長デビューした。
今井さんは、商品企画部部長として長くジブリの商品企画に携わってきた人だが、人柄は非常にチャーミング。さすがのベテランの今井さんも初日とあって、緊張の面持ちだ。今井さんの初々しい店長姿をぜひショップでご確認ください。
・最近滝口さんから苦情が出ている。その苦情の元は、滝口さんの隣の席の深谷さんにあるのだという。深谷さんが某所から仕入れたクリスマス装飾品に対して、「みんなのリアクションが小さすぎる。」と、何度も聞かされて滝口さんは 耳にタコが出来たそうだ。
そこで、皆さん!常設展示室の暖炉付近の靴下3足とネコバスルームのトナカイの付いた赤い靴下の飾られ方は、本人的には本望だそうなので 是非ご確認下さい。そして、深谷さんに一言、ご感想を。
12.4(月)
・麦わらぼうしの冷たい飲み物に使用しているストローは、本物の麦わらから作っている事を皆さんはご存知でしょうか?
長野県の『コムハウス』のみなさんが、一本一本心をこめて手作業で作ってくれています。この素敵なストローを思い出に持ち帰りたい為に、飲み物を注文されるお客様も少なくありません。
そんなコムハウスのみなさんに、カフェスタッフが感謝の気持ちを込めて一言ずつ寄せ書きをしました。先日洗い場に入ってくれた吾朗さんも加わって、とても素敵な1枚が出来上がりました。この寄せ書きは、堀口さんが6日に長野県までお届けに行きます。コムハウスのみなさん、本当にいつもありがとうございます。
・週明け、月曜朝イチの挨拶はみんな「玉川さん、おめでとうございます。」だった。
玉川さんは浦和レッズの大ファン。顔を合わせる人合わせる人、祝辞をのべていた。
・明日は、手嶌葵ちゃん初コンサートだ。葵ちゃんは自分の初めてのコンサートにジブリ美術館を選んでくれた。その準備のため、深夜までスタッフは作業に追われる。男手が必要なので男性2名の助っ人を要請したところ、駆けつけてきてくれた松下さんとアントニオ鵜木さんは、偶然チェックのシャツコンビ。
「チェッ○ーズ、これも運んで~」と命名され、力仕事をどんどんこなしていた。
・ちひろ美術館で開催中の「ノルシュテインの絵本づくり展」の内覧会に、三好さんや内野さんたちが参加。ノルシュテイン監督とは2003年の「ユーリー・ノルシュテイン展」以来の再会となった。
広報部の田村さんは、去年の10月、ロシアのRussian State TVの「PRO-Svet」という番組の中で、ユーリ・ノルシュテイン氏と中継で対談をした宮崎監督が描いた「ノルシュテインコ」(ノルシュテイン監督の似顔絵)をモデルにして作ったしおり(トライホークスで販売中)を持って行き手渡した。するとノルシュテインさんは「覚えていますよ!」と大変喜んでくれたとのこと。
名作「きりのなかのはりねずみ」や「きつねとうさぎ」の絵本の原画が展示され、三好さんは「また息子を連れてこよう」と目を輝かせていた。
展覧会は、1月31日まで開催しているそうなので、ご興味ある方はぜひ。
・ショップでは去年に引続き、ショップでお買い物をされた方に、こっそりクリスマスカードをプレゼントしている。
マンマユートポストカードにクリスマス仕様のオリジナルスタンプを押したものになるが、このスタンプも実はショップスタッフがデザインしたもの。最初にスタンプ押し係に任命された白木君は、だいぶ緊張していたのかバックヤードの床に正座をし、背筋をピンと伸ばしながら作業していた。
(後で聞くところによると、「腰を入れて押すように!」とベテラン郎さんに指導を受けていたらしい。)
12.5(火)
・今日は、手嶌葵ちゃんの初ライブ“ゲド戦記歌集の会”がジブリ美術館で行われた。
コンサートのセッティングやリハーサルの一方で、1階常設展示室「世界をつくる所」では、吾朗さんと三好さんが「ゲド戦記」の背景画を展示。ところがやはり、リハーサルの様子が気になるのか、吾朗さんは時々ふらりと絵コンテ閲覧室の物見台から中央ホールの様子をのぞいていた。
とはいえ作業は順調に進み、ラストシーンの青空をはじめ、「ゲド戦記」の背景画が壁を占めるようになった。
コンサートが始まると、葵ちゃんの透き通る歌声が美術館に響き渡り、場内のお客様も感動の涙を流している方がいたり、心から喜ばれているように見えた。
途中、吾朗監督と谷山浩子さんが登場するトークショーを挟み、「しゃべるのは緊張します。」と言いながらMCを懸命に務める葵ちゃんを見守るスタッフ全員の方が緊張していたかもしれません。
しかし、スタッフも葵ちゃんの生の歌声の素晴らしさに圧倒!イベント終了後、片付けながら「時の歌」を口ずさむスタッフが多く、心に残ったようだった。
「今回のイベントがきっかけとなり、また沢山の人が葵さんの生の歌声を聴く機会が増えたとしたら、とっても素敵なのになあ!」と、今回のイベントを初統括した内野さん。
本来コンサート用に作られていないはずの中央ホールだが、当日のPAさん曰く「すごくいい響きをする」とのこと。ぜひ多くの人にこの音の空間を体験してほしいと思った。
ショップでは、スペシャルイベントとしてサイン付CDを販売。 なんとこの色紙、手嶌葵ちゃん・谷山浩子さん・吾朗監督の3名のサインと吾朗監督によるイラストも描かれているものだった。店内の様子をうかがいにきた吾朗さんは、途端にたくさんのお客様に取り囲まれてしまい、その場でサイン会&写真撮影会となってしまった。
少し照れながらも、快くお客様の期待に応えてくれた吾朗監督だった。
今回が初統括となった内野さん、大奮闘でした。本当にお疲れ様でした。
12.6(水)
・初めてのケーキハウスにてお客様を案内することになった西川君。若い女性から「わ~、あの人かっこいい!」という声が上がっていた。
それを聞いていた小見さんは、「そうですか~?」と答えていた。その表情がなかなか渋いものだった。
・先日の日誌で紹介した、本物の麦わらでストローを作っている『コムハウス』さんのところに、堀口さんがみんなでかいた寄せ書きを手に長野県まで行った。
・その日もコムハウスのみなさんが一生懸命麦ストローを作っていてじっくり見学させて頂いたとの事。
作る工程は、ライ小麦という麦を、ひとつひとつ丁寧にカットしてゆき、きれいに仕上がったストローを10本ずつ束ね留めてゆく。
さらにそれを機械できれいにカット。カットする機械は、麦が固定できる木製の台にハサミの片側を固定し取り付けた手作りのもの。
しかしこれによって、長さが均一化でき、安全な作業が出来るそうだ。
堀口さんはその丁寧で心のこもった仕事ぶりにとても感動したとの事。
そして、「皆さんの作ったストローは、たくさんのお客様に喜んでいただいています。これかも宜しくお願いします!」と、感謝の挨拶をし寄せ書きを手渡したそうだ。
・12月2日の日誌で、ミュージアムショップ:マンマユート団の新店長として紹介されていた今井さんだが、商品企画部長の顔も持っている。その時はこんなです、という1枚を披露してくれた。
(撮影は熱田さん、来年の干支?と見まがうばかりですが、鼻にまんじゅう詰めてます。今井さん、お茶目すぎです。)
・先日、チョコレートパフェをご注文の男の子2人がお誕生日だという事で、カフェスタッフで歌を歌ってお祝いをした。男の子はお友達同士で、2人ともお誕生日との事。さらに尋ねてみると、なんと偶然2人とも同じお名前という事で、スタッフ一同ビックリ!!しかし、ベテランの島崎さんと斉藤さんは、2人のお名前を聞いたとたんに、「あ!」と、毎年お誕生日に来てくださっている常連様だと見抜いていた。
また来年が楽しみだねと、言葉を交わすお客様とスタッフ達の姿がとても微笑ましかった一日だった。
12.7(木)
・高所恐怖所のお客様が、お連れの方と何とか屋上までの螺旋階段を上りきり、やっと到着。屋上ではとても楽しまれていた様子で「今度は孫を連れてきます!」とおっしゃっていた。本日は、館内がとてもゆったりしており ゆっくり館内を観られているお客様がいたるところで見受けられた。美術館のコンセプトである「迷子になろうよ、いっしょに。」どおりに、「迷子になっちゃった!」と言いながらとても楽しげに館内を歩かれているお客様の光景が嬉しく思える一日だった。
・10月の日誌に、カフェの新カウンタースタッフとして登場したカフェの木下さんは、本間さんの指導のもと2カ月が経ち、現在はおいしいコーヒーやデザートなどを素敵に手際よく仕上げるまでに、立派に成長したようだ。
この日、海外から来たお客様にコーヒーをお出ししたところ「とてもおいしかった!」と感激の言葉を頂いたらしい。さらになんと、記念に木下さんの写真を撮って、とても嬉しそうに美術館を後にしていかれました。彼女の心のこもった仕事ぶりが、お客様の直接の声になって現れた一日だった。
・先日初めてイベント統括を担当し、迷路のような美術館を駆け回った内野さんは、翌々日、ひざに痛みが。三好さんに「翌々日に症状が出るのは、30代の特徴だよ」と言われていた。
・1年間お世話になった方々に、暮れのご挨拶として今年もカレンダーを送付している。このところマンマユート団の北村さんが鵜木くんを従え、せっせと大量のカレンダーの発送準備をしていた。
二人で一致団結し、カレンダーの山にとりくむ様子を、周囲は「家内制手工業」と名づけひやかしていたが、今日は一人で作業する北村さんを発見。
現在家業は女手ひとつで切り盛りされているようで不和説が心配されている。
12.8(金)
・おば様4人組。屋上に上りロボット兵を見ながら「これはなって名前だっけ?」と一人の方が聞くと、「ジブリの本は全部読んでいるから知っているわよ。これの名前は、ブリキマーン!」と、胸を張って答えられた方がいらっしゃった。訂正するにもいかず固まってしまった柴田さんだった。
・この日ショップでは、2種類の新商品が発売となる。
美術館オリジナル短編映画(「めいとこねこバス」・「やどさがし」・「星をかった日」・「水グモもんもん」)のスケッチブック。もうひとつは、美術館ステンドグラスポストカードが4柄。
ステンドグラスポストカードについては、美術館開館前より構想が練られていた待望のグリーティングカード。ポストカード製作にあたっては、ステンドグラス製作者である八田さん自らが携わっており、スタッフにも大絶賛の自信作。
「ジブリ美術館ならではのオリジナルアイテムです。きっとみなさんに気に入っていただけると思います!」と、ポストカードを担当している草野さんも嬉しそうに語っていた。
「スケッチブック各種¥525(税込) / ステンドグラスポストカード各種¥630~¥735(税込)」
12.9(土)
・ショップ、今井新店長は、接客販売にも積極的。長年の商品部経験が生かされ、スタッフの誰よりも商品知識が豊富である。
その武器を存分に駆使し、ガラスカウンターの食器コーナーで女性のお客様に取り囲まれながら、まだ慣れない接客販売に精を出していた。そんな姿を、ショップスタッフみんなで暖かく見守っていた。
12.11(月)
・ショップの松尾さんに整理法を学んだ総務の小池さんと野村さん。2階事務所でDVDを整理していた。
「レンタル屋さんで働いているみたい!」といいながら、パッケージからDVDを取り出しファイルケースに入れている。DVDが1つ1つ入っていたパッケージを処分しファイルケースに入れたため、使用スペースが整理前の6分の1にダウンサイジング。
「整理後をイメージするって大事な事ですね~!」とコメントしていた。
・海外からいらっしゃった女性のお客様がホワイエで急に泣き出してしまった。映像展示室のスズトモさんが事情をお聞きした所、壁に描かれているトカゲを見てとのことだった。今年の6月にジブリ美術部の福留さんがホワイエに描いてくれたものだが、その女性は大のトカゲ嫌いらしく絵であってもダメなのだそうだ。「見る分にはかわいいのに・・・。」と苦笑のスズトモさんだった。
ホワイエには、他にもジブリ美術部のチーム吉田の方々が描いてくれた壁画があり、
今年6月に壁に筆で直接描いてくれたもの。
これが、ものすごくリアルなんですよ。
・北風が厳しいカフェデッキで、温かいお料理を提供しようと、カフェテイクアウトでは明後日に向けて『クラムチャウダー』の仕込みが始まった。
テイクアウトスタッフ全員で、野菜をきれいに洗い、お客様が食べやすい様すべて手作業でカット。
それを大きな鍋と大きなへらで、給食のお兄さんさながらに調理している乾さん。
明後日のお客様の笑顔の為、たくさんのクラムチャウダーを夜まで黙々と作り続けていた。
そんな体も心も暖まるクラムチャウダーは、明後日から開始です。是非、カフェテイクアウトを覗いてみてください。
・アトリエの大家さんが畑でとれた里芋を大量に届けてくださる。大喜びで持って帰る袋を探すものの、あいにく適当な袋が不足しており、明日の持ち物に「ビニール袋!」と強く思う私たち。大家さん、ありがとうございます。
12.12(火)
本格的な冬を迎える前に、ネコバスをきれいにすることになった。
マッサージを行い、日頃の疲れとコリを解消し、ふかふかになるよう毛づくろいも行った。
クロスケは新人を迎え150匹の大所帯になり、ネコバスルームも賑やかなクリスマスになりそう。
「こんなに手の掛かるネコは、日本中探しても他にはいないだろう。」とネコバスルームのスタッフは話していた。
カフェのキッチンスタッフとテイクアウトスタッフは、三鷹消防署へ赴き防災訓練を行った。
日々、火を使う彼女たちは、お客様の安全と自らの安全を考え、休日返上で訓練に参加している。
三鷹消防署では、消火訓練の他に火災例の講習から火傷の処置法など、とても内容濃い講習会が開かれ、参加者全員真剣な面持ちで講習を受けていた。
講習終了後、カフェの防火責任者でもある川村さんは、スタッフ全員にお昼ご飯をご馳走してくれた。
寒い中、一生懸命訓練に参加した彼女たちには嬉しいご褒美であった。
12.13(木)
1F常設展示室に吾朗さんが現れた。
ちょうど「少女の部屋」のポジションについていた荻谷さんが吾朗さんに映画制作に関する質問をしたという。吾朗さんも、映画制作のこととあって、真剣に1時間も説明してくれたとの事。今のアニメーション制作現場の話を事細かく説明してくれて、荻谷さんは制作現場の今と昔の違いにとても興味を持ち、もっと勉強したいと言っていた。
忘れないように早速聞いた内容をメモし1Fスタッフ間で共有していた。
ぜひ、アニメーション制作に興味のある方は1F常設展示室にて質問してみて下さい!
12.14(金)
本日、ショップの今井店長は、緊張な面持ちで某情報誌の取材に臨んでた。
どうやら、その雑誌に自分の顔写真が載るとのことで、「雑誌に載ってしまう!」
となぜか妙に恥ずかしがっていた。後で聞くところによると、実はカメラマンから
「マンマユートのボスと同じ顔でポーズしてみてください。」と注文されてしまい、
素直な今井店長の笑顔は、ボスも顔負けのビックスマイルだったらしい。
美術館初冬七景。
ネコの画像には、「あたたかいニャー」と入れてもらえますか?と、深谷さんからリクエストがあった。そう言いたくなるほど、日向ぼっこをしているネコたちは気持ち良さそうだったそうだ。
12.15(金)
本日某求人誌の取材で、ショップスタッフの木村君が大活躍。
カメラマンからの雑誌モデル並みの要望に、さすがに木村君もビックリだったとのこと。
「レジを打ってみてください。 品出ししてみてください。 後輩に指導してみてください。
ぬいぐるみを抱いて笑ってください。」等々。
果たしてどんな写真が載るのか、今から楽しみです。
12.16(土)
B1Fの展示室で小見さんがステッピングモーターを使用している展示物である「しんきろう」のしくみをお客さんに説明していた。
先輩スタッフから伝授された回転盤を使ったやり方が、お客さんには分かってもらいやすいと好評である。「これ、得意なんです。」と言い、薄暗い展示室で白い歯が印象的だった。
アトリエの1階に席をおく事務局長の橋田さんは、2階にいる展示やイベント室のメンバーと
打ち合わせをすることも多い。下と上をつなぐ階段は1つではないため、橋田さんとそれを追いかける人が1階と2階をぐるぐる回って追いつけず高速化するトルネード現象が起きている。
12.18(月)
お客様の中にサンタクロースの格好をした2歳くらいの男の子がいらっしゃった。
元気に館内を走り回っており、「かわいい」とスタッフ間でも人気だった。
同じ歳くらいの男の子がその小さなサンタクロースを発見し、「シャンタ、シャンタ」と呼んでいた。ひげのないサンタクロースには かなり、驚いたらしい様子だった。
中島館長と吾朗さんの部屋に新しい本棚が入る。書類の山をしのびない思いで見ていたらしい吾朗さんが、アニメージュのバックナンバーや数々の資料をきれいにおさめてくれた。
館長もすっきりとした笑顔で、『持ち出しは不可、ただし閲覧はOK!』と言ってくれたため、
部屋を訪れる人が増えそうな気配。
12.20(水)
・ホールの野坂さんがお料理のお皿を3枚同時に持てるようになった。
最近まで2皿だったのが今日突然3皿運んでいる姿をみて、どうしたのか周りのスタッフに尋ねられていた。
なんと、あいている時間を利用して田倉さんが「練習してみよう!」と誘い、2人で一生懸命練習したのだそう。田倉さんのお姉さんのような優しさで、新しいスタッフもどんどん進化している。
・今日から今井新店長による商品説明講座が毎朝開催されることになった。
商品部からやってきた今井店長は長年商品開発に携わってきただけに「目からうろこ」の商品知識をいっぱい持っている。第1日目はショップで発売している食器についての説明。
今井さんの商品に対する愛情のこもった説明にベテランスタッフからも思わず「なるほど~」と感嘆の声が上がっていた。
12.21(木)
・カフェスタッフの雨内さんが、本日をもって退職された。
雨内さんは3人の子どもを持つお母さんで、カフェに来てくれるすべてのお客様にお母さんの優しさをもって接する素敵な雰囲気を持つスタッフ。
その為小さなお客様にもとても人気で、子どもたちが美術館で楽しんだ感想を雨内さんに嬉しそうに話している姿はいつもとても印象的だった。雨内さん、お疲れさまでした。
・1Fの常設展示室にて家族と離れてじっくりご覧になられていた若いお父さんが、1Fスタッフの遠藤さんにこう話してくれたそうだ。「中学生の頃、『カリオストロの城』や『風の谷のナウシカ』に夢中になり、今でもナウシカの漫画の第一巻が宝物。海外に赴任していた時に『千と千尋の神隠し』を観て、とても嬉しく誇りに思いました。」それを聞いた遠藤さんも嬉しかったそうだ。
12.22(金)
・アトリエの受付嬢としてみんなの心のオアシスだった北村さんのご結婚が発表される。落ち込んでいる様子が目撃された人も多数となったマドンナの結婚は、衝撃ニュースだったが、新しい家庭への抱負を、「ゲーム禁止です」と言っていた。
聡明そして堅実な北村さんらしいコメントに女性票は集まっていたが、ゲームが好きな旦那さんに同情する男性陣もちらほら・・。
また、会議でこのニュースを聞きつけた深谷さんは、美術館に帰るやいなや、「大本営ニュースです!」と叫び、おめでたい話を皆に伝えたそうだ。
・映写室で天内くんが年明けに使うフィルムを準備していた。上映終了後に土星座から退室する際に覗いていくお客さんは、「本当にフィルムを用意して上映しているんだねぇ。」と感心していた。普段見られないフィルムを見てもらえてよかったと映像展示室の西川君は思ったそうだ。
・ネコバスルームに来た女の子三人組。12才のお姉ちゃんが2才と3才の女の子の面倒をとてもよく見てくれていた。ネコバスの背中に各々乗せたり下ろしたりと機敏な動きだったそうだ。別の子も気に掛けつつ遊んでくれていて 「疲れたぁ。」と言いつつも「この子達が遊びたがっているから。」と嫌な顔をひとつせず、献身的に動く様は、ネコバススタッフにも負けてはいなかった。ネコバススタッフとしての素質を十分に持ち合わせている子だと話題になっていた。
12.23(土)
・明日のクリスマスイブに向けて、村上さんと阿部さんが夜遅くまで「洋なしのシュークリームクリスマススペシャル」の仕込みをしていた。このメニューは、洋なしのシュークリームをクリスマスツリーの形に仕上げ、いちごのサンタクロースをあしらったもの。明日のお客様の為に、品切れになってがっかりさせてはいけないと、なんと100個も作り上げた。2人の努力の甲斐あって、いちごのサンタクロースが大行列に。お皿に並べられるのを今か今かと待っているようにも見える。
「子どもたちの喜ぶ顔が目に浮かぶよ。」と、完成後とても嬉しそうに帰っていた2人だった。
・気温が高めで天候もよくサンクンテラスやパティオなど屋外はとても過ごしやすく館内に吹き込む風が気持ちよかった。チケットは完売で慌しかったが、中でも冬休みに入った子どもたちは自分のペースで館全体を楽しんでいて、とても活気のある館内だった。
12.24(日)
・本日はクリスマスイブ。
オーダーもクリスマスにちなんだメニューがとても多かった一日だった。
喫茶室にご案内されると子どもたちは決まって、ケーキケースにあるいちごサンタがのったケーキに、釘付けになっていた。スタッフがオーダーを取りに行くと、自分で「サンタさんのケーキがたべたい!!」と、おおきな声で注文をしていた子もたくさんいて、とても微笑ましかった。村上さんと阿部さんの喜ぶ顔が目に浮かんだ。
・クリスマスサプライズコンサート第一弾。「リトルキャロルコンサート」が美術館内で行われた。リトルキャロルは、1996年元東京放送児童合唱団(現NHK東京児童合唱団)のメンバーによって結成された女性コーラスグループ。まず、開館と同時に歌で「お出迎え」し、並んでいたお客さまからは「素敵!」と、歓声が上がっていた。
またこの日は3回のコンサートを催し、30名余りの天使の声楽隊による歌声が美術館を満たし素敵な空間となった。また、今回スタジオジブリのポスプロ部の津司さんがコーラスに初参加し、奮闘していた。
美術館にいつもいらして頂いているご夫婦にコンサートの事をお話しすると、以前からファンとのことで、「では、リトルキャロルの歌を聴いてきます。」と喜んでおられた。そのご夫婦は今日が結婚記念日とのことで、ロマンティックだなと森田君は感じたそうだ。
12.25(月)
・ショップの木村くんが取材を受けたアルバイト雑誌が本日発売される。
採用を担当している大口さんは、さっそく掲載誌を2冊購入し、アルバイトの募集記事が掲載されたページを丹念にチェックしていた。また、木村くん本人は、誌面を見たスタッフから「顔が引きつってるよー!」などとツッコミを受けていた。そんな中、「お母さんから早速購入したと、連絡が入りました。」と、ちょっと照れくさそうに報告する木村くん。それを周りで見ていたツッコミ隊もなぜかほのぼのとしてしまうのだった。
・クリスマスサプライズコンサート第二弾。中村由利子さんのピアノコンサートが美術館内で行われた。由利子さんは美術館短編映画「星をかった日」の音楽を手掛けてくれた方で、そのサントラから「ノナの星」「飛び立つ日(上昇気流)」の2曲とクリスマスメドレーやオリジナル曲などを奏でてくださった。
その美しい旋律は、賑やかな美術館に束の間の静けさを誘い、師走で疲れた大人たちの心を優しく解きほぐした。
日が暮れるに連れ、お客さまもじっくり聴いていただき、スタジオジブリのポスプロ部の古城さんが映画の雰囲気に合わせた照明で演出をしてくれたりと素敵な空間となった。
・ショップパティシエ 白木君は、ショップスタッフの為にクリスマスケーキを作ってくれた。 以前も手作りお菓子を作ってきてくれたが、今回は渾身の力作!!その日出勤したスタッフ達は、大変に喜んでいたが、実は持ってくる途中で少し形が崩れてしまったらしく、パティシエ白木は少し納得がいかなかったらしい。もちろん、その日出勤ではなかったスタッフ達も大いに納得がいかなかったようだ。
12.26(火)
・来年にむけて新メニューの開発が着々と進行している。
喫茶室・カウンターからはあたたかい飲み物が2品、ゆずを使った香りよい紅茶と、バナナの甘さがやさしい紅茶。テイクアウトでは、麦わらぼうし風の豚汁スープが出る予定。どちらも寒い冬にはとっても嬉しい、体が温まる麦わらぼうしらしいメニューだそう。開始日は未定ですが、新年にご期待下さい!
・落ち葉隊も本日で解散。落ち葉隊お皆さん、お疲れ様でした。また来年、宜しくお願いします。落葉が落ち、かなりスッキリした美術館の外観。11月22日の日誌の画像と比べてみて下さい。
・ショップでは3人のスタッフの送別会が行われた。もちろん、今まで一緒に頑張ってきた仲間がいなくなるというのはとても寂しい事だが、それぞれの道に向かって、これから新たな一歩を踏み出そうとしているこの3人に、スタッフ全員心から応援のエールを送った。
松下さん、成田さん、酒井さん。本当に今までお疲れさまでした。
・本日が2006年最後の開館日。ひどい雨にもかかわらず たくさんのお客様がいらっしゃった。今年もお越しいただきまして本当にありがとうございました。そして、また、来年お会いしましょう!
12.27(火)
・本日はスケジュールがビッシリ。朝から 掃除・MTG・防災訓練・吾朗さん研修・忘年会と大忙し、皆が走り回っていた。
・午後は、忘年会の準備をしている一部のスタッフ以外の全員が参加する研修「吾朗さんの話を聞く会」が開催された。第一部「宮崎館主が、美術館を始めるときに何を目指したのか」と第二部「映画制作について」の2つに分かれており、特に第二部は、常設展示室を巡りながら、吾朗さんが拡声器を持って制作過程ごとに詳しく説明し、若いスタッフたちが熱心に耳を傾け、メモを取っていた。
・本日でショップ松下さんが退社される。
最近は送別会の連発で衰弱気味の松下さんだが、美術館最後の仕事として、秘密裏に3日徹夜で映像を編集していたことが判明。
撮影、インタビュー、編集と、美術館映像部のメンバーとともに完成に漕ぎ着けた映像は恒例の大忘年会で披露された。その映像とは、一意専心で迎えた美術館オープンの日の高まる緊張の模様、懐かしい吾朗館長の映像、宮崎館主や中島館長、様々なスタッフのインタビューでまとめられており、スタッフみんなの美術館への想いがぎっしりと詰まった渾身の作品だった。
まるで昨日のようでもあり、随分昔のことのようにも思えるオープン当初の辛かったけど懐かしい映像に、古参のスタッフは泣き、新しいスタッフたちももらい泣き、今後ずっとジブリ美術館を支える同じメンバーとして、皆、胸に刻むものがあったと思う。
皆が泣き、そして笑った30分余りの映像の最後のメッセージが印象的だったので、ここで紹介。
「あれから5年がたった」
「全てがはじめてのことだった」
「今はそれぞれの道の途中」
「ひとまず共に生きている」
「時代という名の海の上」
「この船どこへ行くのだろう」
松下さんと映像部の皆さん、暖かいメッセージをありがとうございました。
そして、松下さん、カフェで3年。ショップで2年。計5年の美術館勤務お疲れ様でした。
(添付写真中央が松下さん)
また、吾朗さんがボーカル、中島館長がドラム、カフェの堀口さんがベース、スタジオジブリの制作渡邊さんがギターで結成されたバンド演奏や、ラップタイムなど、非常に盛り上がる会になった。最後のジャンケンプレゼントでは、深谷さんが“スケバン恐子”に扮して司会をし、慣れないお姉さん言葉で、終始爆笑を誘っていた。
会が終わって、吾朗さんが、スタッフのギターにサインをしていた。
・本日、運営の生江さんも退社となる。展示室や運営の制服づくりや石鹸づくりなどを担当してきた生江さんの最後の仕事は、25日の中村由利子さんコンサートの統括だった。
コンサートの後、皆の充実感のある笑顔に囲まれて、由利子さんにプレゼントを渡した生江さんだった。
いつも元気でムードメーカーの生江さん、2年9ヶ月の間色々お疲れ様でした。
(25日の中村由利子さんコンサート後)
そして、館長の中島から、今年最後のご挨拶。
~三鷹の森ジブリ美術館に来てくださった皆さまへ~
昨日、某氏からテレビでこんなものを見たと聞きました。
「あなたにとって今年一番のニュースは?」という
街頭インタビューで、ある女性が次のように言っていた
というのです。
「娘の休みに二人でジブリ美術館に行ったことです」
これを聞いて、とてもうれしいと共に、身の引き締まる
思いがしました。お客様の期待を裏切れないと。
今年の最終営業日は大雨。にもかかわらず多くの人が
訪れてくれました。本当にありがたいことです。
午後6時、今年最後の閉館の鐘を鳴らして館内を一周。
大雨の中を帰っていくお客様を見送りながら、こんな
思いが頭をめぐりました。
大雨で不便があればあるほど、より一層、ここに来たら
ホッとできる空間でありたい、みんな笑顔になって
帰ってもらえる場所でありたい。
宮崎駿館主が自分のアトリエに人を招くなら、きっと
そう考えていろいろするだろうと。
今年一年、ありがとうございました。来年もスタッフ一同
より良い美術館にすべく努力してまいります。
館長 中島清文