2011年6月
6.1(水)
・開館日に向けた準備が着々と始まっています。運営では開館後に向けてスタッフが出勤しはじめ打ち合わせ、広報はショップの新商品撮影、ギャラリーも様相を変えて「バックさんの物語展」がすっかり整いました。少しづつお迎える準備で活気を増しています。一方、展示の宍戸さんは今日も暗くなるまで新展示用の縫い物作業を続けるのでした。
<間に合いますように...!>
6.2(木)
・今日は久々に全スタッフが集まってミーティングを行いました。新企画展示についてや土星座の新作短編『たからさがし』に関してはもちろんのこと、7月16日公開『コクリコ坂から』のことなど、館長からの説明がもりだくさん。その後、ショップでは"自然に笑顔になる時は?"というお題で話しあいが持たれたり、企画展示室では"ネコバスには何人乗れるのだろうか?"など、様々な角度で開館準備をすすめる一日でした。
<ネコバス車内には大人がぎっしり24人座れました>
6.3(金)
・本日は午後から新企画展示のマスコミ内覧会。天候にもめぐまれて会見は立ち見もでる盛況ぶりで嬉しい悲鳴でした。
『たからさがし』を観た後に企画展示室に行かれる方や、ほかの展示物やステンドグラスをゆっくり観察する方など、好きな順番でご覧頂きましたが、某社のデザイナーさんがいつまで経ってもネコバスに乗らない。「ゆっくり満喫できるタイミングまでガマンしてるんです!」と、彼らしいストイックさ(?)をみせていたが、盛況は閉館まで続いてしまいました。
6.4(土)
・いよいよ今日から開館し、新企画展示「ねこバスから見た風景展」がスタートしました。まずはネコバスとの対面に感激してくれる方が多いのですが、席に座ると窓から見える風景に感慨に浸っている方など、すっかり主人公の気持ちになっている方もちらほら。千と千尋の屋台では、屋台のイスに座る親御さんの姿を見て、「豚になっちゃうよ!」と本気で心配する女の子も。スタジオジブリ作品の印象的な背景画と立体物が広がる展示室は、お客様の感慨や興奮で活気に満ちています。
6.5(日)
・カフェでは休館が明けて新しいメニューが始まりました。スタッフみんな、緊張しながらのオープンでしたが、お客様が楽しそうにお食事される姿に少しずつ緊張もほぐれていった様です。休館中に押切さんにはお孫さんが生まれ、デシャップのお母さん3人全員がおばあちゃんになったそう。「これで3バーバーズだね!」とみんなで話をしていると、すかさず木村さんが「それじゃあ3人の床屋さんだよ!」とツッコミを入れていました。おばあちゃんになってもさらに元気なお母さんスタッフ達。明るい笑い声とともに仕事に精をだしています。
6.6(月)
・開館直後に、パティオの手漕ぎポンプ井戸の水がまったく出なくなってしまった。佐藤さんと平山さんがオーバーホールがてらに分解してみると、磨耗がはげしく、新しいものに交換が必要なことが判明。横で井戸漕ぎを楽しみにしていた男の子の激励を受けながら、ストックしておいた新しい本体を取り付け、呼び水をすると...。無事に勢いよく水が出てきたので、ほっと胸をなでおろす2人なのでした。
<分解された井戸>
6.7(火)
・休館を利用して、7月に発売予定の徳間書店「ジブリ美術館ファンブック」の撮影で、カメラマンさんが朝から来館。この10年間毎年撮影にきてくれていますが、新しく加わった展示物を撮影したり、新鮮なアングルを模索して床に這いつくばって撮影したりと、一日がかりであちこちを回っています。汗だくになりながら重い機材をもって、階段を昇ったり降りたり。いいものに仕上がることを願わずにいられない一日でした。
6.8(水)
・引き続き「ジブリ美術館ファンブック」の撮影が。本日は開館日ですが、普段の美術館の様子を撮影するために、またまた一日密着潜入です。さりげなく掃除に精を出す様子や、お客さまの少ない間をぬうように展示物の動作確認をしたりと、一人ひとりのスタッフの目には見えにくい努力を撮影しようと、カメラマンさんは今日も汗まみれで美術館の一日を過ごしていました。
6.9(木)
・企画展示「ねこバスから見た風景展」のパンフレットの作成がすすんでいます。掲載用の原稿にするため、今日は宮崎館主とスタジオジブリの美術監督、武重さんと吉田さんの座談会を行いました。企画展示室のネコバスの向こう側に見えている、あの背景画の世界を作った人たちです。絵画でも写真でもないアニメーションの背景画への思いをあらためて語ってくれ、話は熱をおび、どんどん饒舌になっていきます。おだやかな吉田さんは「1:1:8、ってかんじでしたか?」と言うほど、ほとんどずっと話し続けていた宮崎さんの話。パンフレットの完成が楽しみです。
6.10(金)
・6/23に本番を迎える、「自衛消防訓練審査会」の訓練をする堀田くん、肥田木くん、西川くん。3人の予定表には、毎日"閉館後に自主練"と書いてある。打合せを設定しようとしても毎日書いてあるので、「なんだかウザイ」と言われてしまう3人なのでした。
6.11(土)
・カフェで飲める「大人の飲み物」ビール。この夏の銘柄が今日から切り替わり、"ヴァイツェン生麦酒"になりました。ショップや受付の制服も夏服へのチェンジがはじまり、いよいよ夏本番に向けて始動です。
6.12(日)
・ショップのタオルが置いてあるコーナーに、正座し小さくうずくまっている4歳くらいの男の子を発見。「何してるのかな?」と、そっと覗くと、売り物のタオルハンカチを、ちっちゃな膝の上できちんとたたんでいました。「お家でお手伝いしてるんだね」と、四方八方からスタッフはついニコニコと見守ってしまいました。
6.13(月)
・たくさんのお客さまでにぎわう時間のショップでは、入るなり「お家帰る~!」とか、「もうここはいい~違うとこ行こうよ!」と、小さな子に叫ばれてしまうことがあります。親御さんに抱っこされている背中越しに、ぬいぐるみや楽しいグッズで、(そんな事言わないで...)とあちこちのスタッフが懸命に働きかけていました。
6.14(火)
・スタジオ制作の佐々木さんが、久しぶりにアトリエに訪れた。佐々木さんは、吾朗さんが「東京タワーを凌駕する佐々木さん」というイラストを描くほど恵まれた身長の持ち主だが、この春入社した川上くんも負けていない。宍戸さんはこれは写真を撮らねばなるまい、と強い思いで二人を並ばせていた。
6.15(水)
・カフェスタッフが出勤すると、裏庭の一角にいろいろな虫がお供えのようにいくつも置いてあるのを発見。どうやら近所の猫さんの恩返しというかプレゼントのようで、その虫たちの周りには小さな足跡がありました。でも「虫は十分間に合っているのです...」と思うスタッフなのでした。
6.16(木)
・「借りぐらしのアリエッティ」DVD/ブルーレイ発売に合わせて、ショップはスタッフが一丸となってレイアウトの変更に取り組んでいる。正面入口やウィンドウ、店内にもモニターを設置して一帯をアリエッティ一色に。中でも苦労したのが、昨年2階で展示した「アリエッティ展」の一部の展示物の設置だった。バランスを考えながら行った作業は一発本番の大勝負!そのプレッシャーに耐えながら必死に釘を打つ郎さん。慎重な作業は功を奏して、仕上がりはなかなかのものとなったそうだ。
6.17(金)
・さて「借りぐらしのアリエッティ」発売当日。購入特典の洗濯ばさみをポニーテールに付けたショップスタッフ"アリエッティチーム"の面々は、お客様から「アリエッティだ!」と、声を掛けられちょっと照れくさそう。最初はかなり意識していたのだが、忙しくなると洗濯ばさみを付けている事を忘れて、ごっつんと棚にぶつかる事もしばしば。商品補充職人の須田さんは、ぶつかっても全く何事もなかったようににっこり笑顔で作業に走り回っていました。
6.18(土)
・あっという間に半袖が活躍する季節に突入。机さんが着ていたTシャツが去年の夏よく見かけたものだったので、懐かしいね、と話すと、「去年"パジャマ?"って言われた、あのTシャツです」と1年前の屈辱も新鮮に思いだす机さんだった。
6.19(日)
・自衛消防訓練審査会に向け、練習を重ねる指揮者堀田くん・1番員肥田木くん・2番員西川くん。参加回数3回を誇る西川くんを筆頭に、「今年は優勝あるのみ!」と、連日連夜、練習が行われています。通称"鬼軍曹"の山浦さんから、忍者走りを伝授されたり、まるで宝塚歌劇団のような美しい身のこなしを大口さんから指導されたりと、夜な夜な努力を重ねている様子です。
6.20(月)
・カフェの中庭では、赤ちゃんカタツムリが大発生。デッキにナメクジが多く見受けられることはありましたが、これほど多くのカタツムリが発生したのは10年目にして初めて。しかも2~3mmの子どもばかりで、みなぐんぐん上へ上へと上っていく。どこから集まったのか、そしてどこへ消えていくのか?夜には一匹もいなくなったのでした。
6.21(火)
・スタジオから美術の吉田さんがやってきて、パティオと映像展示室のホワイエのニセ窓にリタッチをしてくれました。長編制作が終るやいなや、美術館の仕事に来てくれて嬉しくなるスタッフ。「あ、吉田さん」「吉田さんだ~!」と次々に声がかかっていました。
6.22(水)
・ショップにて"王蟲"を購入された女性のお客さま。「やっと本物を手に入れました!」とにこやかな笑顔で嬉しそう。「子どもの時にロールパンを机にたくさん並べて遊んでたんですよ」と、思い出話をしてくれた。小さな子が"王蟲"をおねだりしてもかって貰えずにいる時には、この"ロールパン作戦"をこっそり教えてあげようと思う菅野さんだった。
6.23(木)
・「たからさがし」の中に登場する食べ物が印象的なお客さまはとても多いよう。「クッキーが食べたくなっちゃった」「 私だったら砂糖は何個入れるかな?」など、楽しげな上映後のお客さまの声が聞こえてくると、スタッフもついごくんとつばを飲みこんでしまうそうだ。
6.24(金)
・自主練を繰り返していた「自衛消防訓練審査会」の本番当日。早めに現地入りした3人は、最終関門(?)の"深谷さんチェック"を受け、「いいんじゃない。」との言葉で送り出されました。一層キリリッと引き締まった表情で、円陣を組みいよいよ本番。応援に駆けつけた館長や防災班の面々が見守る中、練習以上の演技を披露できたそう。気になる結果は、189点で第三位入賞、銅メダルを頂きました。惜しくも優勝には届きませんでしたが、全員が全てを出し切り満足のいく出来だったそうです。打ち上げの席で、来年は女子チーム出場案が浮上し、さっそく天内さんから斉藤さんにオファーの電話をするというオチで締めくくられていました。
6.25(土)
・外でコマ目に打ち水をしている深谷さん。深谷さん以外のスタッフが水を撒いたこの日、地面の乾き具合を見た深谷さんは、「てんでなっちゃいない!」と一言。「水を撒くべき場所は埃が立ちそうなココだろう、こんなまだらな撒き方しやがって!」と、水の湿り具合から手順を推測し、"理想的美しい水撒きについて"指導を述べていた。
6.26(日)
・企画展示室のネコバスの中から、窓の外に広がる風景をご覧になっていた年配のお客さま。「このシーンの風景を見てると、メイちゃんがいなくなって心細くなっているサツキの気持ちがよく伝わってくるのよね」と思い出しながら、しみじみとお話をされ、じっと窓の外に思いをはせていた。
6.27(月)
・「手の平に沢山乗せて一緒に遊ばせてあげると良いんだよ。」と、<ダンゴムシと仲良く遊ぶ方法>を力説する4才の男の子や、「このアリの行列の仕方はどこかに虫の死骸がありますね。」と熱心にアリ観察する子など、この季節になると<小さな虫博士たち>が色々なことを教えてくれる毎日です。
6.28(火)
・電気の設備点検のため、本日は全館停電。この作業を見届けるために二人だけ出社し暗闇にこもっていた山浦さんと天内くんは、外出した途端にお日さまのまぶしさにあてられて、よろよろとよろめいていた。
6.29(水)
・企画展示室にて、お母さんと一緒にネコバスを嬉しそうに撫でている2歳くらいの女の子。2Fの遊べるネコバスでは雰囲気に圧倒されてしまい、なかなか近づけなかったようだったが、ここではすんなり入っていくことが出来たよう。家族一緒に楽しんで頂いている姿にスタッフも嬉しくなったそうだ。
6.30(木)
・小林さんの予定表に書かれていた「館長捕まえるなら今日!」という文字にあせる二宮さん。週末から出張にでてしまう館長に、前もって伝えるべきことをまとめている。一方、予定表に書いてまでいた小林さんは「館長にスマートフォンをもって欲しい」と言いはじめ、何かをあきらめてシステムの力に頼ろうとしていた。