2011年8月
8.1(月)
・今週には入り急激にセミの声が響いてくるようになりました。美術館のあちこちでも抜け殻がたくさん発見できます。デッキではワゴン販売のすぐ横で羽化が始まりました。赤澤さんがカフェの小池さんにそのことを教えてあげると、「もう見飽きた...。」とつれないお答え。それに対して赤澤さんは、「もうセミプロですね!」とまさかのダジャレで返答。乙女からオヤジへと羽化していったのでした。
<羽化したてのセミ>
8.2(火)
・企画展示「ねこバスから見た風景展」開催を記念して、今日はスケッチ大会を開催しました。美術館内のあちこちで自由にスケッチをする機会が設けられ、小中学生93名が参加しました。
<館内のあちこちに画板をもって散らばりました>
迷いに迷って1F常設展示室で描く場所を探していた男の子。ふと天井を見上げて見つけた飛行機に「描きたいものが見つかった!」と嬉しそう。このイベントにはスタジオジブリの美術スタッフ14名も男鹿和雄さんとともに参加。吉田さんが描く少女の部屋を絵をまじまじと見ていた中学生の女の子は、しばらく自分の絵を止めて、吉田さんの筆に見入っていました。その後、吉田さんのことを「師匠」と呼び、少女の部屋の机で黙々と絵を描いていた。
完成した作品は、パネルで張り出してお互いの絵をみんなで鑑賞しました。
8.3(水)
・夏休みの子どもたちで賑わっている毎日。日々、子どもたちとの楽しいやりとりがおきています。字が読めるようになったばかりの女の子が、首をかしげながら、「ま・り・た?」と呼んでくれて目をほそめる"もりた"くん。よっぽど嬉しかったのか、会う人会う人にそのエピソードを話していました。
8.4(木)
・北海道で青果卸売業を営んでいるという相川さんのご実家から、とても立派な夕張メロンが8玉も届きました!しばらく寝かしていましたが甘い香りが漂いはじめると、スタッフは切り分ける日を心待ちに。とろけるような味わいに、清涼と元気もいただいたそう。北の方角に向かってお礼を言うスタッフでした。
8.5(金)
・1階常設展示室の少女の部屋にあるドールハウスの前で、小さな3人組の女の子たちが何かをヒソヒソと話している。どうやらアリエッティを探している様子。「どこにいるの?」「人間に見つかっちゃいけないから今はいないんだよ。」「見てなかったら、来るかも?!」と、しばらく3人でしゃがんで隠れている。そっと覗き見ては、アリエッティの気配をうかがっていた。
8.6(土)
・ショップには、『紅の豚』に出てくる飛行機 "サボイア"と"カーチス"の模型が、ガラスタワーの中にディスプレイされています。「あっ!豚の飛行機だ!」と、飛行機めがけて走ってくる男の子や、友達や家族に、飛行機の説明を始める元・男の子のお父さん。年齢は違えどガラスに張り付いて眺めている姿をよく目にします。その後には、熱心さを物語るかのように残る指紋の数々。ガラスを磨くのに、くいいるように見てたんだなあ、と、にんまりしてしまうのでした。
8.7(日)
・突然降り出した大雨と雷。その勢いと音に驚いた女性が、ごあんないじょにいらして、「ねぇ、これって演出なの?ここだから何かあるのかと思って!」とのこと。大雨も雷もはね返しそうな笑顔で「そうよねぇ!さすがに雷は鳴らせないわよねぇ!あっはっは」と、楽しそうにお話しされていました。
8.8(月)
・映像展示室では、映画が始まる前にスタッフからちょっとしたお話をしています。映画についての小さな情報や、映像展示室の中に隠された秘密のことなど、代わる代わるスタッフがこの"前説"を担当します。それぞれ個性豊かなトークをしていますが、そんな中、川上くんの前説が大人気。特別に饒舌なわけでもないのですが、彼の持ち味である素敵な低音ボイスで、みなさん最後まで釘付けになっているご様子。最近では、前説に対して拍手まで巻き起こることもあるとのこと。うらやましいベルベットボイスです。
8.9(火)
・事務所の滝口さんの席から、大口さんの「ひえ~」という悲鳴が。滝口さんのパソコンにはメモが張ってあり、「骨に付いた肉 スプーンでとって たたいて なめろ 骨は熱湯 血合いは気合」と、なんとも韻を踏んだ呪いのポエムが。よくよく読み直すと「なめろ」ではなく「なめろう」と書いてあった。近頃、市民農園で有機野菜作りも始めた滝口さん。今度はなめろうと潮汁の作り方を覚え、いつか食べさせてくれることを期待してます。
8.10(水)
・ギャラリーに展示されている『コクリコ坂から』で登場した当時の自転車を見て、50代くらいの女性が、「昔、座布団を巻いてさぁ、ここ(後部座席)が私の場所だったのよね~」と感想をもらしていらっしゃった。映写技師の岩井さんも、若い頃同じような自転車にまたがり、街中を映画のポスターを貼って回ったそうです。
8.11(木)
・デッキで販売しているラムネの栓は、お客様自身に開けて頂いてます。でもコツと力が必要なので、なかなか開かない場合にはスタッフがお手伝い。手を添えたりしながら楽しいコミュニケーションが生まれます。今日はご夫婦でいらっしゃった奥様が開けようと苦戦するものの、栓がびくともしない。「日頃のストレスをここでどうぞ!」とスタッフが話すと、「あります!いっぱい!」と旦那さんの方を向きながら思いっきり力をこめていた。するときれいに栓が開き、奥様は夏の太陽のように爽快な笑顔に。一方、旦那さんは苦笑いでワゴンを後にされていました。
8.12(金)
・ショップのレジは、子ども達には少し高いので、お会計の時に顔が見えないことがあります。お父さんがお会計しているのを何とか見ようとした女の子。けんすいのような状態でニューッと顔を持ち上げ、腕の力だけでお会計を眺めている。スタッフが「あごぶつけないようにね。」と声をかけると、「筋トレが趣味なんで。」と、お父さん。女の子はその状態のまま一部始終を見届けて、満足そうにショップを後にされて行きました。
8.13(土)
・毎年この時期、ショップの店内は熱気に包まれて、スタッフは滝のような汗をかいています。そこで店長の郎さんが、首に巻とひんやりするバンダナをそっと差し入れてくれました。ですが制服の襟元から見えないように装着すると、首が短めのスタッフはなんだか少々マッチョな首に見えてしまう。「首を鍛えております!」ということにしよう、と言う市来さんに励まされながら、猛暑を乗りきろうとがんばっているそうです。
8.14(日)
・まだまだ夏本番!という暑さですが、カフェのキッチン内では、そろそろ秋からの新メニューの試作が始まっています。今回初めて試作に挑むスタッフもみんなで意見を出し合いながら、少しずつ形にしていってるそうです。どんなメニューが完成するのでしょうか。
8.15(月)
・1階展示室の作画室にある『コクリコ坂から』のキャラクター設定の絵をマジマジと覗き込んでいる小学1年生の女の子。話を聞いてみると、映画館で3回も観てくれたそうで、「海ちゃんも俊くんも大好き~」と嬉しそうに話してくれた。公開直後は大人のお客さまの感想が多く聞かれていたが、こうした子ども達の感想は何とも嬉しく新鮮だった。
8.16(火)
・世間はお盆休み。パン屋さんもお盆休みのため、カフェのフルーツサンドも8/21までお休みです。お休みを利用して訪れてくださる大勢のお客様で、にぎわっている館内です。
8.17(水)
・ショップでは、京都の"SOU・SOU"さんに作って頂いている手ぬぐいが多種取り扱われています。特に夏は、スタッフ始め大人に大人気ですが、珍しく小学生の女の子が、『ちゅうずもう』の手拭いをレジに持って現れました。「渋いね~。」と、話し掛けると、「剣道部だから!」と、キリリと答えてくれました。防具をはずした時、頭に巻かれている様子を想像して、「そういう使い方もあるのか。素敵だなあ。」とスタッフは思ったそうです。
8.18(木)
・図書閲覧室「トライホークス」で、お父さんに絵本『はじめてのおつかい』を読んでもらっている女の子。話の主人公を自分自身にしたいらしく、お父さんが主人公の女の子の名前を読むと、すぐさま「○○ちゃん!」と自分の名前に訂正させていた。たまに お父さんが間違うと、そこだけは絶対に見逃さずに、最後まで自分の物語として読んでもらっていた。
8.19(金)
・カフェのカウンターで育てられていたコーヒーの木の鉢植え。少しずつ大きくなり、今までの植木鉢では窮屈になってしまったので、植え替えをする事に。鉢から苗を外すと、根がびっしりと這り、鉢底に敷いていた石が根っこ中に抱え込まれて、一体化していました。まるでラピュタのあのシーンのようだったので、思わずカメラ!カメラ!とパチリ。
ピカピカの新芽も大きくなってきて、これからの成長がますます楽しみな田倉さんなのでした。
8.20(土)
・本日は三鷹阿波踊りの本番。参加したスタッフ20名は、伊神さん差し入れのカラアゲで気合いを入れて、いざ出陣!雨男の名を欲しいままにしている西川くんが率いているにもかかわらず、天気も霧雨程度で踊りきることができました。努力の甲斐あってか、三鷹市役所連は"三鷹阿波踊り振興会会長賞"をいただきました。特に自主練を重ねた女踊りは、沿道から「かわいい~!」と声援を送られ、照れながらもがんばっていました。
8.21(日)
・雨の中美術館に来館してくださるお客様の傘は、様々な色や形で実にバラエティ豊か。そして子ども達も、色とりどりのレインコートを着てとても鮮やか。暗い雨空の中、お客様がくるとその場所があっという間にカラフルに華やいで、受付の外で対応している根本さんは、雨の日が楽しみになっているそうだ。
8.22(月)
・滝口さんのところへ気仙沼よりカツオが届く。閉館後に「全員2切れずつ」とのお達しの元、みんなでご相伴にあずかりました。
新鮮な魚の味に舌鼓をうちつつ、空腹に拍車がかかり、美術館のピザ部長こと石光さんのオーダーにより、ピザが追加発注されることに。暑い一日の終わりに、急遽はじまった小さな宴で、全員が癒されました。
8.23(火)
・月刊ローソンチケットで取材を受けたショップの菅野さん。「なぜ自分が?」という思いを隠せず、店長の郎さんにしきりに他の人を薦めるものの、撮影当日を迎えることに。撮影の様子を遠くで見ている郎さんの視線を気にしつつ、無事に取材は終了。菅野さんは、「丸顔を三角顔にうまく切り抜いてもらえないかな」とつぶやいていました。そんな取材記事は9/15号に掲載予定です。ぜひお楽しみに。
8.24(水)
・「パンの差し入れ、ありがとうございまーす!」と思いきや、これは前回の企画展示の"パン雄"に使われていた作り物のパンです。おいしそうな焼き色で、並んでいると思わず手にとってほおばりたくなる代物。
展示終了後はいろいろな小物の整理がすすめられています。
8.25(木)
・施設管理をしている山浦さんと天内さんは、展示のメンテナンスを担当している矢澤くんを誘い、自分たちのメンテナンスとして夏の小打ち上げをしたそう。「それで、どうだったの?」と尋ねると、「いやあ『チャンピオン』を熱唱しました。」とのこと。なにやらガッツを取り戻した様子です。
8.26(金)
・ショップ周りの廊下は外気温が高くなると、空調の吹き出し口から結露が発生しポタポタとたれてくるので、タオルを巻きつけた"結露取り棒"を使い、せっせと結露取りをしてます。ふと、佐野くんの首元の汗拭きタオルに目を留めると、"結露取り棒"のタオルと同じ風合い。「それ同じもの!?」と突っ込まれ、懸命に否定する佐野くん。毎日使うものなので、同じいい味が出てしまったようです。
8.27(土)
なんと、月曜日の海の恵みに引き続き、今度は秋田の高橋さんから畑の恵みが送られてきました。沢山のメロンに加えて自家栽培のトマトやゴーヤやきゅうり、その瑞々しさを堪能しながら遠い秋田の地に想いを馳せる美術館スタッフでした。
<いつもありがとうございます!>
8.28(日)
・ラムネ販売をしているワゴンの裏側から、松田さんの歓声が。羽化する瞬間のセミを発見したらしい。近寄って見てみるとエメラルドグリーンの羽と漆黒の瞳がとても美しい。そばにいたお客様も集まってきてカフェデッキでの小さな撮影会が始まり、「初めてみました!」と、みなさんとっても喜んで下さった。そんな小さな生命にも出会える、森の中にあるジブリ美術館です。
8.29(月)
・1階常設展示室にいると、新しい展示が加わったこともあり『コクリコ坂から』への様々な感想を耳にします。「主人公の風間くんが、『耳をすませば』の聖司くんよりカッコいい!」と話している女の子たちの意見に"耳をすませて"いた西川くん。『耳をすませば』への愛が人一倍深い彼は、「甲乙つけがたいところですが、やっぱり聖司くんでしょうね。」と思っていたそうだ。
8.30(火)
・TBS「王様のブランチ」のロケのため、鈴木プロデューサーが美術館を案内しにやって来ました。こんな機会はあまりないので、とてもレアなロケ。館長も興味をもって撮影の様子をのぞきに来て、熱心に取り組む番組スタッフの方と鈴木さんのやりとりに、新鮮味を感じたそう。映像は、初秋の風が吹き抜ける美術館がきれいに映し出されていました。
8.31(水)
・本日をもって退職する運営スタッフの伊東洋子さん。美術館オープンから11年近くの間、支えてきてくれた大ベテランです。お別れの言葉で、「たまに変装して遊びに行くからね。みんなが笑顔でお客様を迎えているか、陰からのぞいています。」といわれ、背筋をピンと伸ばす運営スタッフ。洋子さん、長い間本当にお疲れ様でした。