2014年3月
3.1(土)
・本日は「三鷹の森アニメフェスタ2014 ~アニメーション古今東西 その11~」。三鷹市芸術文化センターにて、古今東西の傑作アニメーションの上映と、第二部としてライブラリ作品『しわ』の特別上映に加え根本かおるさんの講演会が行われました。
第一部では、「さまざまな技法のアニメーション」というテーマで、三好学芸員の解説つき上映を行いました。そして、昨年亡くなられたフレデリックバックさんの作品2本も特別上映。バックさんは、高畑監督が「自然と人間のあり方を見つめ、文明の行きすぎに警鐘を鳴らし続けてくれた」と語る、最も尊敬する監督でした。三好さんも愛してやまないバックさんを解説する時には、強い思いが胸に迫り、涙ぐんでいました。
<解説中の三好さん>
続く第二部では、『しわ』の上映後に、国連広報センター所長の根本かおるさんを招いての講演を行いました。『しわ』は認知症、老いをテーマとした作品ですが、フリージャーナリスト時代にも様々な社会問題にふれてこられた根本さんの『しわ』の感想は、「生のドキュメンタリー映像だと、直視するのが辛く重すぎるような映像になることもありますが、社会派の内容でもアニメーションであれば、楽しみながら受け止めることができますね。監督の温かさも感じられました。」と話されていました。
そのほかインドの風習で今現在も続く女性の問題として"サティ"についての映像を紹介してくださるなど、高齢化問題のみにとどまらずに、様々なことを広く知るきっかけとなる講演会となりました。
3.2(日)
・秋田から来館したという50代くらいの男性と小野さんの会話。「秋田には秋田美人という言葉があるけれど、君は三鷹美人だね。」とお褒めの言葉を頂いた小野さん。その会話に耳を傾けていた中村さんに気づいた男性は「お、君は三鷹小町だね。」と嬉しくなる一言。しかし、中村さんは、<美人>と<小町>には大きく違う何かがあることに、ハタと後から気づいていました。
3.3(月)
・日本時間の今朝は、アカデミー賞発表の日。長編アニメーション映画部門に『風立ちぬ』もノミネートされていたので、朝の中央ホールで行われる全体朝礼では、11時ごろの発表になることだけが報告されました。残念ながら受賞はなりませんでしたが、事務所で番をする者は、その発表の瞬間をドキドキしながら待っていました。一方、宮崎監督のそばにいる役割を担っていた館長は、本人に結果を伝えにいくお役目が発生し、重責を果たして帰ってきました。
3.4(火)
・アトリエでは、次回の新企画展示について様々な制作がすすみ、宮崎監督も活躍中です。展示スタッフはみな忙しそうですが、北海道の安西さんの知り合いから届いたという大量のキャラメルが糖分補給に一役かっているそうです。
<全種類ならべてみました>
3.5(水)
・映像展示室で「たからさがし」を観た、卒業遠足で来てくれた幼稚園のこども達。映画を観たあと「お姉さんのたからものは何?!」とキラキラした目で質問された沢登さん。「私のたからものは、家族と友達!」と素直に話してくれたその子達を前に、「自分の本当のたからものとは...」と何やら熟考しだした沢登さんでした。
3.6(木)
・カフェでは、以前いらしたお客様が再度ご来店。丸山さんに<コーヒーの葉のお茶>を持ってきてくださいました。前回いらした時に「コーヒーチェリーのお茶」(※コーヒーの果実のお茶です)というメニューを召し上がり、「今度来る時にはコーヒーの葉のお茶を持ってきます」と約束されて、ちゃんと守ってくれたそう。その日は残念ながらお休みでお客様に会えなかった丸山さんですが、翌日しっかり受け取り喜んでいました。
3.7(金)
・暖かく快晴だった空から、急に春の雪が降り始めました。先日の記録的大雪のこともあり、天候の変化には気が気でないスタッフ。でも「雪は台湾では珍しい!」と嬉しそうな海外のお客様や、卒業遠足できた小学生のグループは、みんな一緒に雪にはしゃいで大喜び。そんな様子を見て、「もっと素直に雪を楽しめばいいのだよな...」と思い直し、前向きに受け止めることにしたそうです。
3.8(土)
・週末はよく散歩に出かけるという板谷さん。色んなところを訪れて、そこで撮った写真を見せてくれたり土産話をしてくれるのですが、最近は小金井市の「はけの道」など身近な武蔵野界隈を巡っている様子。そして、「東小金井駅付近をもの凄く早足で歩きまわっている板谷さんを見た...」という、目撃情報もぞくぞく届いています。
3.9(日)
・カフェでは閉館後、今月中旬から始まる新メニューの勉強会が行われました。今回は、春野菜が豊富に使われたメニューもあり、緑が目にもやさしく、にぎやかなテーブルになりそうです。
3.10(月)
・春休みに向けて、ショップ店内では今まで動かしたことのない、大物の什器を移動することに。
ショップイチの力持ち、佐野くんがお休みというリスクを負いながらも、重い重いがっしりとした棚を、男性陣が大移動。
何かグラグラする、と床に這いつくばりあがきながらも、無事に移動は完了しました。
3.11(火)
・本日は休館日を利用し、「三鷹の森のかんさつ会 in ジブリ美術館」を開催しました。このかんさつ会は"春探し"と題し、近隣の連雀学園三鷹市立第4小学校の6年生約70人と一緒に、井の頭公園内の自然や生き物、ジブリ美術館も含めた地域にあるさまざまなものに目を向け、慣れ親しむイベントでした。「井の頭かんさつ会」の皆さんに、井の頭池に住むカイツブリのこと、縄文人が食べていたという「スダジイ」の実のこと、珍しい野鳥が来ていることなどを教えてもらいながら、小さな班ごとに野外観察に出かけました。
初めは男の子たちに比べて落ちついた様子だった女の子たちも、様々な虫に出会い思わず声をあげたり、おっかなびっくりといった風情でじっと見つめています。美術館のスタッフもグループに混ぜてもらい、この土地に一緒に生きているもののことを、たくさん教えてもらいました。
卒業を控えた6年生たちは、来年からは中学生になるのでネコバスルームで遊べるのはこの日が最後かも知れません。ですので、最後に持てる力の全てでネコバスを満喫し、たっぷりと遊んでこのイベントを締めくくっていました。
3.12(水)
・美術館の出口付近に現れたネコ。首にひっかけたビニールがマントの様になびいていて、「苦しくないのだろうか?」と通りすがりの人々はとても心配でハラハラするものの、そのまま木に登ったり他のネコを追いかけていたり...機敏な動き。スーパーマント?と話題になっていました。その後マントはちゃんと外れて普通のネコになっていた、という目撃情報があり、ひと安心です。
3.13(木)
・2/21の日誌でご報告した休憩室の胡蝶蘭。ついに綺麗な白い花を咲かせました。若干小ぶりではありますが、「綺麗だねぇ」「小さくてかわいいねぇ」と、すっかりスタッフの癒しになっていますが、「長い時間忍び、よくぞ水だけでここまで...」と感動もしているのでした。
<一歩づつ、春です>
3.14(金)
・今日はホワイトデー。お返しの大荷物を抱えて出勤する男性スタッフ。「え、これ一人で食べていいの!?」という声が聞こえてくるほど、きちんと箱詰めされたものを配って歩くものなど、今日の男性はみんな忙しそう。アトリエの川上くんは、なんと手作りプリンを持参!それも、アトリエの女子全員の12人分を、花形やクマ型のカップに入れて、猫柄のマスキングテープで包装しての贈り物。もしかすると、バレンタインデーよりも...磨きがかかってます。
3.15(土)
・先日の「三鷹の森アニメフェスタ2014」で、フレデリック・バックさんの映画をご覧になったというご夫婦。中央ホールにあるバックさんの作品『クラック!』に登場するゆり椅子にも早速興味を示され、とても嬉しそうに腰掛けながら揺られていました。
3.16(日)
・「将来はプロデューサーになりたい」という中学生の男の子。トライホークスにて書籍『ジブリ汗まみれ』を購入してくれました。展示室などでは、「絵を描く仕事に就きたい」「アニメーションを作ってみたい」という子どもたちの声はよく聞きますが、鈴木プロデューサーを目指す発言は新鮮でした。少し驚きつつも、夢がかなうといいな、と影ながら熱い気持ちで本を手渡すスタッフでした。
3.17(月)
・出勤してきたショップの松尾さんの手に、四角い風呂敷包み。みんなが密かに楽しみにしている、お彼岸の手作りおはぎのおすそわけが、今年もやってきました。連日年度末の棚卸し作業で甘いモノが恋しいスタッフにとって、やさしい甘さのママのおはぎを口いっぱいに頬張るのは至福の時間だったそうです。
<ママのおはぎ>
3.18(火)
・お父さんになった、カフェの丸山くん。予定日近くになるとそわそわして、仕事が終わると一目散に帰宅。そして無事に産まれてからも、早め早めでいそいそと帰路につく姿が目撃されています。
3.19(水)
・カフェではこの日から新メニューが始まりました。今回は、店内の食事メニューが大きく変わり春の野菜をたっぷり使った旬なメニューになりました。お客様の反応は、「本当に、山盛り!」「プルプルだね!」などいろいろとにぎやかです。ぜひカフェでおためしください。
3.20(木)
・トライホークスに本を購入しにいらした60代の女性。レジでお財布をひらいてから「あっ!」と声をあげ、どうやらお金がないことに気づかれた様子。岡田さんが心配していると、女性はポケットからガムの包み紙を取り出されました。ガムサイズの包みを開くと、そこにはなんと...一万円札!「ここなら誰にも気づかれないでしょー」とニンマリ。人生の先輩にはいろいろな智恵があるなぁと感心の岡田さんでした。
3.21(金)
・春休みに入った学生さん、暦も3連休と続き、春の訪れと共に様々な層のお客様で更に賑わい始めた館内。最近はご年配のご夫婦が水入らずで来館されることも増えています。仲睦ましく、手を携えて館内をゆったりと巡っている姿に、「いつの日かそんな風になりたい...」とスタッフは羨望のまなざしです。
3.22(土)
・新宿バルト9にて、3/21(金・祝)~23(日)の3日間限定で、高畑勲・宮崎駿両監督およびスタジオジブリがそれぞれ第一歩を刻んだ作品の特別上映がありました。題して、「これが出発点だ。」各日初回は、関係者によるスペシャルトークショーつき。土曜日の本日は、『夢と狂気の王国』監督の砂田麻美さんと、スタジオジブリ制作業務部取締役部長の野中さんが登壇。
砂田監督は、とても細かくものを観察する宮崎監督に何を指摘されるか、服装にも気を使い、毎日ドキドキしながらジブリの中で撮影を続けていたそうです。
各回ともチケットはほぼ完売し、改めて作品それぞれが皆さんに深く愛されているのだなあ、と感じる3日間でした。
3.23(日)
・奥さんの懐妊がわかったという鵜木さん。長男、長女に続き、めでたく3人目のお子さんが誕生するのだそう。皆口々にお祝いの言葉を述べる中、深谷さんは「子どもの名前は任せろ!」と発言。丁重に辞退を申し出る鵜木さんでした。
3.24(月)
・開館前に、お互いの身だしなみチェックをしている中村さんと古俣さん。前から見た姿、後ろから見た姿、とチェックし、中村さんが後ろを向くと、「キレイです。」と古俣さん。「前から見た時に聞きたかったけど...?」と、やや不満げな中村さんでした。
3.25(火)
・今日はショップの棚卸し日。普段の3分の2程度のスタッフが出勤して、ひたすら商品を数えるのですが、「なんだかいつもよりも静かだね。」と、松尾さんが一言。なぜだろう、とメンバーの顔ぶれを見つめなおすと、「あっ!今日の出勤者は全員オーバー30だ!」と、気付いたそう。いつもよりも少し落ち着いたメンバーで、黙々と数え続けるのでした。
3.26(水)
・親子ほど年の離れた、西岡事務局長と展示の若手女子、功刀さん。功刀さんにとっては西岡さんの趣味や好みがユニークなものにうつるらしく、好きな食べ物や使っている柔軟剤など、細かく聞き出しています。「一番好きなのはコロッケかなあ。二番目は...」という西岡さんの言葉をメモする功刀さん。しかしメモはそこそこにして実は似顔絵を描いており、「あれはどちらかというと、からかっているよね...」という評判なのでした。
<功刀さん作の西岡さん>
3.27(木)
・カフェには、最近変わったお客様の訪問があったそう。朝作業をしている肥田木さんは、ヤモリに遭遇することが多いらしい。外にお帰りいただいてますが、また数日後にやって来たとのこと。このところ暖かくなって目覚めてきたのでしょう。縁起のよい"家守"、外でのお勤めをしっかりお願いしたい所です。
3.28(金)
・春休みに突入し、子ども達の元気な声がますます響く館内。今日は屋上に、小さな探偵団が来ました。手には拡大鏡や望遠鏡にもなるレンズを持った男の子と女の子の二人組。花を見つけると望遠鏡で見ては、「うーん、あれはラベンダーかな?」「ラベンダーですねー」。天空の城ラピュタの要石のところでは、凸レンズを使い「この古代の文字は...あ!ここに"り"って書いてあるのが読めるぞ!こうやって逆さまにすると...」「ほんとだー!」と、団長と団員の役割に徹しながらレンズの現象を駆使してさまざまな発見をしてくれていました。
3.29(土)
・この夜、カフェの戸締りをした安部さん。最後に警備の三上さんに鍵を渡して帰宅、のはずが、ポケットから出した鍵は自宅の鍵。そのまま三上さんに渡してしまい、はずみで受け取った三上さんも、「え!?」とびっくり。安部さんは「三上さんと一緒に住んでるの!」と冗談を飛ばしてごまかしていました。
3.30(日)
・竹林さんの最終勤務日。1F展示室に並々ならぬ愛情を注いでくれた竹林さんへの感謝の気持ちを込めて、山川さん手作りの「ジブリブリ石鹸」をプレゼントしました。竹林さんの物に対する愛情、人に対する興味や好奇心の視点。今まで見て来たその背中を見習い、これからもスタッフ一丸のなって頑張っていきたいと思います。
3.31(月)
・今年度最後の今日は、運営の岩井さん、佐藤さん、カフェの斉藤さんの最後の勤務日でした。開館から長期に渡り勤め上げてきた尊老たちの最後の日。それぞれ様々な思いがこみ上げます。スタッフとしては隠居しても、残してくれた存在感は変わらずに、今後も息づいていくことでしょう。長い間、おつかれさまでした。
<スタッフによる長い花道>
<岩井さん、佐藤さんと館長の記念撮影>