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物語と登場人物

物語と登場人物

story_01.jpg 19世紀末、ロシアのとある町。貴族学校に通う16歳の少年アントンは、ツルゲーネフの『初恋』を読み、女主人公ジナイーダに夢中。たびたび妄想に浸り、勉強も手に付かない。 彼の家に住み込みで働く少女パーシャは、そんな彼をからかう。パーシャはひそかにアントンに恋心を抱いていた。それに気づいたアントンは、彼女との愛の行方を夢想してみる。たとえ貧しい娘であろうとも、二人の間に本物の愛があれば何の支障もない。必ずや幸せな家庭を築けるであろうと。しかし、同級生のジェーニカが言う。「パーシャは、雑巾の女神。恋愛の対象になるような女ではない」と・・・。理想を夢見たはずのアントンだったが、彼の言葉に簡単に動揺してしまう。

 そんな時、アントンは、隣の家に引っ越してきた令嬢セラフィーマに出会う。彼女は美しく高貴で、まるで女神そのものだった。衝撃を受けた彼は、セラフィーマに捧げる愛の詩を書き、彼女の家に投げ込む。
一方で、パーシャに縁談の話が持ち上がる。相手は同じくアントンの家で働く御者のステパン。ショックをうけたパーシャは、アントンの部屋を訪れる。そして、「一緒にいたい」と初めて愛の告白をするのだった。

story_02.jpg そんなある日、近所で事件が起きる。牧夫の息子が、自分の妻と父親との只ならぬ関係に怒り、二人を殺してしまったのだ。アントンにとっては、男女の関係が、決してきれいごとだけでは済まされない残酷な面を持っていることを垣間見る結果となった。
それでもなお、初恋の甘い興奮に翻弄されるアントンは、年齢も境遇もまったく違う二人の女性、パーシャとセラフィーマの間を揺れ動く。清く精神的な愛を真剣に考えながらも、抑えきれない衝動が彼を身勝手で浅はかな行動へと駆り立ててゆく。
「教会に来てください」。セラフィーマから手紙が届く。アントンは生まれて初めての逢引へと身を投じるのだった・・・。

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