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2006年3月 9日『ポール・グリモー展』について
1947年、フランス初の長編アニメーション映画に挑んだ
ひとりの作り手がいた。高畑勲、宮崎駿をはじめ、世界中のアニメーション作家に多大な影響を与えたスタジオジブリの原点とも言うべきフランスの長編アニメーション映画「王と鳥」。この作品の劇場初公開を記念して、このたび『ポール・グリモー展』(入場無料)を開催することになりました!
フランス初の長編アニメーション映画に着手し、20世紀フランスの最も偉大なアニメーション作家として世界からの尊敬を集めるポール・グリモー。このたび開催が決定した『ポール・グリモー展』は、そのグリモーの仕事を日本で始めて紹介する記念すべき展覧会となります。この展覧会を通して、戦争や抑圧に反対し、自由と平和を愛したグリモーの、監督、画家、皆から慕われたアニメーションの父、それぞれの顔をご覧いただけます。
この展示会では、監督である故ポール・グリモーが手がけた作品の絵コンテやイメージボード、「王と鳥」制作風景の写真等を展示します。かつて、グリモーがどのようにアニメーションを作っていたのか、また、当時のフランスにおけるアニメーション制作の一端を、垣間見ることができる展覧会となるでしょう。
本年3月、グリモーの生誕101年を記念してフランスで開催された「ポール・グリモー展」。そこに参加した高畑勲監督が、「日本でもグリモーの仕事をぜひ紹介したい」と本展を企画しました。そして、かねてから親交のあったポール・グリモー夫人の協力を得て、『ポール・グリモー展』を開催することができました。
また、この展覧会のために、ポール・グリモー夫人と、グリモー研究の第一人者ジャン=ピエール・パグリアーノ氏がフランスから来日します。展覧会初日となる6月30日には、「王と鳥」や、グリモーの名作短編アニメーションの特別先行上映に加え、高畑勲、宮崎駿両監督が東映動画時代に手がけ、「日本の漫画映画を映画にかえた」といわれる「太陽の王子 ホルスの大冒険」が特別上映されることも決定しました。上映終了後には、高畑氏とパグリアーノ氏によるトークセッションも行われます。
“気をつけたまえ。この国は今、罠だらけだからな。”映画「王と鳥」と「ポール・グリモー展」に、現代を生きるヒントが隠されています。
アニメーション映画のもつ幸運は、すべての人に分かる言語で話せることであり、主な観客が若い人々、明日をになう男女である、というところにあります。彼らは演説にはうんざりしても、お伽噺や寓話にもっと近い私たち固有の言語なら好みます。単純で、イメージに富み、子どもっぽく見せかけたお話、それらこそ、ひょっとすると、肝心かなめの諸真実、すなわち心の諸真実を運ぶ最もすぐれた乗物かもしれないのです。
私はいつも私たちの映画を見てくれるであろう人々に思いをはせます。私たちが彼らに言おうとしたことのすべて、私たちが種を播いたすべて、それらは映画が終わって灯りがともった時に、あとかたもなく消え去ってしまうものではありません。一本のフィルムに終わりはないのです。まさに観客の心のうちでこそ、それらは歩み続け、種がひとつでもあれば、その種が芽を出しはじめるのですから。― ポール・グリモー開催にあたって
不思議な白昼夢的空間と洗練された色彩美。独特のアニメーション映画の世界を創造したポール・グリモー。みずから描いたその素晴らしい美術背景画は残念ながら大半が失われ、作品の中にしか存在しません。ですから1992年パリで見た大規模な回顧展や本年のヴァル・ドワーズ映画祭での展示はじつに貴重なものでした。このたびグリモー夫人のご好意により、映像制作の過程がうかがえるものなど、グリモーの画家・演出家としての仕事の一端をみなさまにご覧いただけることは私の大きな喜びです。
アニメーション映画監督 高畑 勲
『ポール・グリモー展』
映画「王と鳥」劇場初公開記念 / 高畑勲監修
会期: 2006年6月30日(金)~8月31日まで
会期: [祝日休館/8月1日~8月13日まで夏期休館]会場: 東京日仏学院ギャラリー
料金: 入場無料
主催: 東京日仏学院
後援: フランス大使館文化部、ユニフランス東京
協賛: エールフランス
協力: スタジオジブリ・「王と鳥」上映委員会