GIORNALE DEL MAMMA AIUTO!シルバーに宿る自然のかけら――オリジナルアクセサリー
2018.06.01 マンマユート便り Vol.20
生い茂る木々の匂いがより一層濃く感じる季節になりました。 晴れた日には窓を開けて胸いっぱいに深呼吸したくなります。 さて土星座で上映中の映画「毛虫のボロ」。ショップにもかわいらしいボロたちがいたるところで顔を覗かせています。 お買い物中なにか視線を感じたら、まんまるの瞳のボロが見ているのかもしれません。 いちはやく気づいた子どもたちは、手のひらにのせたり、這わせてみたり、ほおずりしたり... 思い思いに愛でてくれている姿にスタッフも思わず微笑んでしまいます。 映画をご覧いただいたあとはぜひショップのボロにも会いにいらしてください。
シルバーに宿る自然のかけら――オリジナルアクセサリー
指や胸元、耳たぶでさりげなく輝く小さなシルエット......それらは、実はトトロや黒ネコのジジがモチーフです。今年で十年目となるジブリ美術館オリジナルのシルバーアクセサリー。スタジオジブリ作品のキャラクターと自然物が調和し、貴金属でありながら温かみを感じる逸品です。自然の息吹をシルバーに込めるジュエリー工房・プフッツェさんに創作の秘密を伺いました。
▲「となりのトトロ オリジナルリング(マット/クリア)」 各13,000円(税別) 「オリジナルピアス「ジジ」(※手前)」10,500円 「オリジナルネックレス「トトロ」」ゴールド(小)72,000円/シルバー12,000円 「オリジナルネックレス「ジジ」」12,000円
自然物や現象をかたちに
北 康孝さん(左)/高知県出身。実家が型屋さんで金属素材などに触れつつ豊かな自然の中でさまざまな現象に興味を抱く。母親の影響で彫金の魅力に目覚める。
賀来綾子さん(右)/東京都出身。幼少時から小さなものをつくることが好きで、成長しアクセサリーへの興味も高まり、北さんとの出会いで彫金の道へ。
ジブリ美術館のオリジナル商品をお願いしたのはプフッツェさんが活動を開始されたのと同じ頃で、
かれこれ10年くらい前だったと思います。
お二人のアクセサリーづくりはどのようにして始まったのですか?
北 僕は子どもの頃、高知県の自然に囲まれて過ごしていました。
好奇心が強くて、例えば何かに興味を持つとひたすら大量に集めたりして。
中でも蜂の巣や貝殻などの繰り返しのある形に何か惹かれていたんです。
大人になって彫金を学び、子どものころから好きだったものをモチーフにして何かできないかな、
と思ったのがきっかけだったかもしれません。
▲北さんの子ども時代からの貝殻コレクション。ケースはお爺さんのお手製
▲最近は植物の種子もコレクションしているそう
すごいですね。こんなにたくさんキレイに収集しているとは。
賀来さんのご興味も自然のものだったんですか?
賀来 私はお花屋さんにあるような花より、
公園や道路脇に生えている雑草のような植物に惹かれていたんです。
小さい頃はよくシロツメクサで冠を作ったりしていました。
そんなお二人がアクセサリー制作を始められたのですから、植物や自然がテーマになっていくわけですね。
賀来 そもそも最初に二人で何も決めず自由につくった時、私は植物、北は蜂の巣の作品で、
好きなものを選んだ共通点が、"自然物"だったんです。
それからなんとなく自然物や自然現象が創作の中心になっていきました。
▲作品「蜂の巣/Honeycombs」
北 東京で最初に販売用に作ったものも木の芽がモチーフで。
その展示方法も切り株に生えているような飾り方をしました。
▲作品「切り株から芽を出す植物/sprouting plants」
なるほど。それが好評で方向性が定まっていったのですね。
北 そうですね。あとからまとめると"自然物"なのでしょうけれど、
自分たちが見たもの、経験してきたことを形にするという感覚に近いですね。
例えば「朝日」という作品を作っているのですが、朝日から感じるものを形にしたいんです。
どういう光を多くの人が共通で「朝日」と認識しているのか...、
同じ太陽の光でも夕日との違いとは......、といったことを考えてしまうんです。
誰もが目にしているようなものを、改めて形にしようとみなおしているのですね。
▲プフッツェさんの作品「朝日/Sunrise」少しづつ色味の異なる材質がつながっている
賀来 雑草もそうですが、気に留めなければ見過ごしてしまうような、
ごくあたりまえに身の回りにあるものを作っているという感じだと思います。
なるほど。貝殻を集めるのと同じように、自然のかけらを作品にしているのですね。
日常への丁寧なまなざしが、プフッツェさんの優しい作品につながっているのだと思いました。
このアトリエからの風景もお二人の作風に合ったおだやかで気持ちの良い工房ですね。
北 この工房は小石川植物園が見えて、よくお客様をご案内したりもするんです。
私たちも何度も観察に行きます。
たくさんの種類の植物や種子などの自然が、身近に感じられるんですよ。
映画の世界を身につけるには
自然物をモチーフとされていたのに突然キャラクターを手がけることになり、
難しいことなどはありましたか?
北 小学生の頃からジブリ作品はほぼ全部観ていてセリフも言えるくらいでしたけど、
それでもまた「トトロ」は何度も見なおしました。
誰でも「あ、トトロだ」と納得する形を探していたんですが、
トトロはシルエットで、シンプルな形にするべきだと思いました。
そして、オープニングを見直しているときに、「あ、これだ! このまま指輪にできる!」と思ったのです。
▲『となりのトトロ』オープニングシーンより © 1988 Studio Ghibli
賀来 そうしてまず指輪ができたので、そこからピアスもシルエットでいこうと考えましたが、
ピアスやペンダントトップなどは、パッと見てすぐトトロとわかる形よりも
「おや? なんの形だろう?」というくらいの存在感が
身に着けるものとしてはちょうどいいなと思ったんです。
そこからの原型作りに時間がかかりましたね。
ちょっとした違いでネコのように見えてしまったりするので。
「シルバーアクセサリーがどのように生まれるのか」は、こちらをどうぞ。
企画から完成まで、小さな世界にこだわりがつまっているのですね。
北 そうなんです。トトロはリアルすぎてもかわいくないですし、
かといってトトロだとわからなくてはダメですし、絶妙なラインを出すために、繰り返し作業を行います。
賀来 私が特に重要だと考えているのは、大人の女性がつけられる、ということです。
映画の世界観と大人の女性が普段から身に着けたいと思うものをいかに近づけていくか、と考えて、サイズ感も決めていきました。
北 サイズに関しては、男性の僕より、賀来がこだわってました。
「大きすぎる」って指摘されたり(笑)。原型が出来上がるまではお互いパスをだしあって、足したり削ったりを繰り返しました。
キャラクターや自然という題材が、北さんの思い、賀来さんのこだわりで
仕上げられていることがわかりました。
そのこだわりが宿るアクセサリーが、使いやすさや優しい雰囲気を生んでいるのですね。
賀来 ありがとうございます。十年〜二十年と長く使っていただける、そんな流行に左右されないものになっていたら嬉しいです。
アクセサリーは、身に着けることでより自分の気持ちが幸せになるようなものであってほしいと思うんです。
北 そしてこれはジブリ美術館でしか買えないものなので、ちょっとだけ特別なものだと思うんです。
日常に戻った時にジブリ美術館のことを少し思い出す、その特別感にこたえたい、と思っています。
自分の気持ちが少し上がる、幸せにしてくれるもの、そんなかけらですね。
今回のシルバーアクセサリーは、ジブリ美術館が伝えてきた〝世界にはきれいなもの、美しいものがたくさんある〟という思いと、プフッツェさんの〝世の中の何気ないものを見落とさず、ずっと大事にしていこう〟というものづくりの姿勢が共鳴した商品と言えるでしょう。
プフッツェさんの商品を持ち帰り、何気なく日常で使ってみることで、ジブリ美術館での思い出をしまいこむのではなく、何年たっても忘れられない、心の中で輝き続けるものにしてほしいと願っています。
今日は貴重なお話をありがとうございました。
(2018年4月24日、東京・白山にて収録)
今回は、上映中のオリジナル短編映画『毛虫のボロ』にちなんだ商品をご紹介します。
ポストカードセット...400円(税別) クリアファイル...\300(税別) シール...\380(税別)
映画『毛虫のボロ』から、見て楽しく使って嬉しい文房具ができました。選りすぐりのシーンを集めたポストカードセット(5枚組)は、お部屋に飾っていただくのもおすすめです。ボロギクのシーンのクリアファイルは、満足気なボロの表情が印象的。シールになったボロや空気のゼリー、虫もかわいらしいので、ぜひ気軽に使ってみてください。
ピンバッチ 「ボロたまご」「はっぱとボロ」...各500円(税別)
モチーフになっているのは、生まれたばかりのボロと、葉っぱの上にいるボロ。どちらも欲しくなるオリジナルのピンバッジができました。お洋服や小物など、身の回りの持ち物につけるとちょっと目を引くアイテムになりそうです。
マスキングテープ\400(税別)
ボロの愛らしい姿が並んだマスキングテープ。貼ったり剥がしたりできるので、アレンジ次第で色々な用途に使えます。ひとつひとつのボロの表情や動きを、ぜひ手にとってご覧ください。