組みあめ 製造工程
浅野さんの工房始業は朝8時。最初の原料を煮詰める釜に火が入ります。
組みあめ一種類を作るのに約30分、そのサイクルを繰り返し、午後4時すぎには終了となります。
「夏場は水物に押されてあめの売り上げは落ちるんですよ」
浅野さんはそう謙遜しますが、作業場はフル回転。
再注文の割合が高いのは、やはり独自のあめの風合いを追求し続ける浅野さんの職人気質によるのでしょう。
しかし決して頑固なわけではなく、とても明るく親切な人柄も、優しいあめの味につながっているような気がします。
ではそのおいしい〈組みあめ〉が生まれるまでの、じつに見事な製造法をご紹介しましょう。
- 水あめを煮詰める
- 冷却台で香り(味)つけ
- 色付けと、各色の切り分け
- パーツの組み立て
- 元になる太巻きをパッチロールへ移動
- シームレスカッターで切断~完成
まず材料となる水あめと砂糖(約20kg)を釜で混ぜ、ガスで20分ほど煮詰めます。
ここでは電気釜は使わず、火力の強いガス釜を使用。
湿気が多いと、あめがべたつくので、その日の湿度を計り、火力、時間などを調整します。
今回の工程では、マンマユート団・団長の顔を作ります。
こまかい色分けですが十年以上作り続けているので、作業に携わる全員が、どの色のパーツをどうすればよいかを完全に把握しているそうです。
煮詰めた材料を釜の横にある冷却台に移します。
ここに広げて冷ましつつ、味のもととなる香料、 甘さをおさえすっぱさのもととなるクエン酸を入れます。
「クエン酸が、甘すぎない味のひみつです」
次にキャラクターの顔の部分ごとに9色を使い分け着色します。
ジブリのびんあめに使われる着色料や香料などは、すべて無添加の素材が使われています。
「ジブリ美術館のあめは全部、天然素材による着色です」
あらかじめ各色がどれくらいの分量になるか把握し、その分量だけを取り分け色をつけます。
一切、秤などは使わず、すべて浅野さんの長年の勘に従い、目分量ですすめます。
色分けされた材料を40cmほどの長さに延ばし、図面上の形(円、半円、四角など)に整形し
順番に組み上げていきます。
最後に外周の板(オレンジ色)で全体をくるんで、元となる太巻きの状態が完成です。
次に太巻きを、帆布を回転させるパッチロールという機械に載せ、円筒形になるよう整形します。
続けて太巻きの端を手で絞って延ばし、直径約2cm、長さ30cmほどの棒を量産していきます。
量産された30cmの棒を、シームレスカッターで切断していきます。
この機械のなかには36枚の円盤形の歯が回転しています。
シームレスカッターの下側から切断されたあめがざらざら〜っと出てきます。これをすかさず竹製のはらい棒で作業台の端へと移動させます。
移動の途中で、断面の絵柄が崩れたものなど失敗作を取り除き、完成です。