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映画「雪の女王」新訳版 エッセイ集
第一回
鮮やかな記憶
バレリーナ 草刈民代
今回『雪の女王』を見ているうちに、子供の頃の記憶が鮮やかに甦ってきた。 カイとゲルダが仲むつまじく戯れている場面を見ながら、そのほのぼのとした雰囲気に憧れていたこと。雪の女王の登場のシーンでは、冷たく、威圧感のある女王を恐ろしいと思っていたこと。カイが女王に連れ去られ、抱きかかえられながら「寒い」と言っていたシーンでは、本当にカイのことを気の毒に思い、このあと、どのように話が展開してゆくのかを不安に思っていたこと。物語の進行と共に、それを見ていた自分のことも甦って来たのだ。...
第二回
洗練されたロシア版アンデルセン
児童文学評論家 赤木かん子
美しい“女王”との再会 今年の12月、ジブリ美術館が始めた世界のアニメ配給シリーズ、にいよいよロシアアニメの「雪の女王」が登場することになり、見せていただくことができました。 ジブリのファンならどなたでもご存知の……というのは、宮崎さんが、僕の原点はここなんです、とあちこちで力説なさっているので……なのに見ることができなかった、あの「雪の女王」ですよ!...
第三回
「雪の女王」の中にあるロシア的なるもの
新訳版字幕担当 児島宏子
“ライラック・ブリヴァール”に住むシュワルツマンさんご夫妻を10月初旬にお訪ねした。シュワルツマンさんは今年(2007年)87歳。「ミトン」や「チェブラーシカ」(両作品ともロマン・カチャーノフ監督)の美術監督、そして「雪の女王」(L・アタマーノフ監督)では亡きヴィノクーロフさんと一緒に美術監督を務めた方だ。お住まいは、モスクワの都心から少し離れた場所で、イズマイロヴァ公園の近くだ。...