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イントロダクション

アンデルセン原作の「雪の女王」の決定版

intro_02.jpg アンデルセンはデンマークを代表する童話作家であり、今なお数々の傑作が世界中から愛され続けています。

 ジブリ美術館ライブラリーに収録されている『王と鳥』や今回同時上映される『鉛の兵隊』もそうですし、「人魚姫」や「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」など代表作の枚挙にいとまがありません。

 中でも、この『雪の女王』は、これまでに幾度となく映像化されてきたアンデルセンの中でも稀有な作品です。2002年制作のブリジット・フォンダが女王を演じた実写版もあれば、2年前に放映されたNHKのテレビシリーズもあり、最近では韓流ドラマの題材としても取り上げられているようです。

 主人公の少女がさらわれた男の子を助けるために、旅に出ていろいろな出会いをするという、ロードムービー的ストーリーが映像化の試みをさせる所以なのかも知れません。

 その中でも、今回ご紹介する『雪の女王』は、1957年に制作されたロシアアニメーションの傑作です。

 当時のソビエト政府の庇護のもと商業主義とは無縁の体制で制作されたこの作品は、無駄なエピソードをそぎ落として主人公の少女ゲルダにのみスポットを当てた骨太なストーリー構成で、随所に窺えるアニミズムの思想や自然に対する畏敬の念など、ロシアならではの解釈が投影されていることも特筆されるでしょう。

 50年前の作品なのに、今なお、少しも輝きを失うことはないのです。