本棚より[季刊トライホークス 2017年49号]


世の中にはいろいろな本があります。古今東西、恋物語もあれば、冒険物語もあり、たくさんある本の中から、トライホークスに置かれているおすすめの本とお話を紹介します。トライホークスの本棚の中の一冊から、みなさんの本棚の一冊にしていただけたら嬉しいです。

どうしてかわかる?

文...ジョージ・シャノン 絵...ピーター・シス 訳...福本友美子 晶文社 1,500円(税抜)
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 「なぜ?」「なに?」と様々なものに興味をひかれる子どもたちは、同じように「なぞなぞ」が大好きです。そんな彼らの要望に応えるため、図書室でも「なぞなぞ」や謎解きが出てくるお話を紹介しています。世の中に数多あるであろう"謎"についての本。その中でも図書室で度々登場するのが、この『どうしてかわかる?』です。この本には、アメリカ、アフリカやインドといった世界各地から、"謎かけ"の含まれた14編の昔話が集められています。どれもなかなか難しいので、お話をよく読み、さらに頭をひねって考えなければいけません。
試しにお話をひとつ紹介しましょう。

 「2人のお父さんと、2人の息子が魚つりに出かけました。1人1ぴきずつ魚がつれたので、みんな上機嫌。でも釣れた魚の数は、ぜんぶで3びきでした。」

 みなさんはこの謎を解くことができたでしょうか? お話を簡単に紹介してしまったので、しっかり読みたい方はぜひ本を手に取ってみてください。「答え合わせがしたい!」という方もお話の次のページをめくってみましょう。"たねあかし"がきちんとのっています。もっと難しい問題を!という方は残りの13の謎に挑戦するのも楽しいでしょう。お話もいろいろ、謎もいろいろ、すてきな挿絵を見ながら、"謎とき"に挑戦してみるのはいかがでしょう。

火のくつと風のサンダル

作...ウルズラ=ウェルフェル 訳...関楠生 童話館出版 1400円
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 くつ屋の子チムは、クラス1番のでぶで学校1番のちびでした。家はお金持ち ではありませんが、いつもおもしろい話をしてくれるお父さんと、優しいお母さんが待っています。ある日お父さんは、7 歳になったチムに赤いくつとリュックサックを贈り、夏休みに長い旅に出かけようと提案しました。大喜びしたチムは〝火のくつ〞という新しい名前をもらい、お父さんは〝風のサンダル〞という名前で一緒に旅に出ます。

 チムは、〝明日はどんなことが起きるのだろう〞と楽しみながら旅を続けますが、新しい世界に触れてわくわくするのは彼だけではありません。星空の下の麦畑や森の中の古いお城などで、読者も一緒に小さな冒険を楽しむことができます。もちろん良いことばかりではありませんが、得意のお話で道を示してくれるお父さんが一緒だから安心です。

 ある村に立ち寄ったとき、チムは「でぶ」とからかわれてしまいます。いつもは怒ったり悲しくなったりしていましたが、今回のチムは違いました。いろんなものを見て聞いて体験してきたことで、違った受け止め方のできる人間になれたのです。そして旅の終わり、久しぶりにお母さんと再会する場面では心があたたかくなります。子どものもつ素直さやけなげさ、大きくなっていく姿が心に残ります。たくさんの愛に溢れている旅の物語、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思います。

季刊トライホークス 49号(内容紹介)

「季刊トライホークス」は、図書閲覧室トライホークスで 3ヶ月ごとに発行しているフリーペーパーです。ここでは、図書室の本を紹介するとともに、様々な分野で活躍している方に本の紹介をしていただき、図書室の枠をこえ「本」と出会うきっかけ作りをしていきたいと考えています。

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夢中になって読んだ本
作品によってお話も人物も異なる世界を描き続け、幅広いフィールド活躍しているはたこうしろうさん。ご自身の幼少体験とともにおすすめの本を紹介していただきましたが、野山を駆け回っていた少年時代だったようです。
連載「ロバート・ウェストール(第2回)」
ウェストールは「戦争」を題材にした作品をいくつも執筆しました。彼の出発点となった『"機関銃要塞"の少年たち』を中心に、戦争小説の中で何を描いてきたかを取り上げています。
山猫だより「三鷹阿波踊り」
美術館の裏側(?)、日常について書いています。三鷹阿波踊りは今年で50周年。夏になると本番に向けて、美術館スタッフも夜な夜な練習をしています。